【体全体で音楽を楽しむ】暮らしに息づくスーダンの音楽文化
突然ですが、皆さんは「スーダンの音楽」と聞いてどのような音楽を思い浮かべますか?
……パッとイメージしづらい方が大半なのではないかと思います。
スーダンには200を超える民族集団が暮らしており、地域や民族によって受け継がれてきた音楽や踊りもさまざまな、とても豊かな音楽の文化を持つ国なんです!
この記事では知られざるスーダン音楽の魅力についてご紹介したいと思います!
暮らしの中にある音楽
まずは、首都ハルツームで開催された、スーダン各地の文化を紹介するイベントの動画です。多様な楽器や手拍子を交え、みんなで音楽を楽しんでいる様子をご覧ください。
スーダンでは、お祝いの席や地域の行事など、人々が集まるさまざまな場面で、歌や楽器の生演奏が行われます。一人、また一人と椅子から立ち上がり、ステージの前に吸い寄せられ、初対面の人同士でも和気あいあいと一緒に踊る。体全体を使って音楽を楽しむ文化を感じます。音楽を通して人と人との距離が近づいていくことも、スーダンの音楽文化の特徴の一つです。
ウードやタンブール、太鼓がつくる音
スーダンの音楽では、さまざまな楽器が使われています。
例えば「ウード」は、アラブ音楽で広く使われている弦楽器の一つです(形は日本の琵琶に似ています)。スーダンでも歌の伴奏などに使われています。
一方、北部スーダンなどを中心に伝統的に演奏されてきた弦楽器に「タンブール」があります。地域によっては「キサール」とも呼ばれ、木の枠に弦を張った独特の形をしています。スーダンだけでなく、周辺の東アフリカ地域にもよく似た楽器が見られます。
タンブールの演奏動画です。
弦楽器だけでなく、太鼓などの打楽器もスーダンの音楽には欠かせません。力強いリズムに歌や手拍子が加わり、音楽に合わせて踊りが始まることもあります。
また、楽器だけでなく、踊る人の身体の動きそのものから音が生まれることもあります。例えば、スーダン南西部に位置するヌバ山地周辺のダンスでは、足首に金属製の鳴り物を身につけ、足を踏み鳴らす動きに合わせて音を響かせることがあります。踊りのステップが音を生み、音楽のリズムに重なっていくのです。
ヌバ山地に伝わるダンスの動画です。足を踏み鳴らす動きとともに、足首の鳴り物が音を響かせます。2:08頃からは、足の動きがいっそう力強くなります。
楽器の音、歌声、ダンス、そして身体の動きから生まれる音。さまざまな形で音楽に加わりながら、その場にいる人々が一緒に音楽をつくっていきます。
一言では表せない、スーダンの音楽
スーダンは、アラブ世界とアフリカ大陸の文化が交わる地域に位置しています。そのため、スーダンの音楽には、周辺地域とのつながりを感じさせるさまざまな要素があります。ウードのようにアラブ音楽圏で広く使われてきた楽器もあれば、タンブールのように周辺の東アフリカ地域にも類似した楽器が見られるものもあります。
しかし、スーダンの音楽を「アラブ音楽とアフリカ音楽が混ざったもの」とだけ捉えることはできません。スーダンでは、地域や民族によって異なるリズムや旋律、歌や踊りが受け継がれています。周辺地域とのつながりを持ちながらも、それぞれの地域や民族の歴史と文化の中で育まれてきたことが、スーダン音楽の多様さにつながっています。
ちなみに、スーダン人アーティストで個人的なイチ推しは、シャルハビール・アフマド(Sharhabil Ahmed)です。彼は「スーダン・ジャズの王様」とも呼ばれ、スーダンの音楽にいち早くエレキギターを取り入れた先駆者として知られています。スーダンの伝統的な音楽にジャズやロックなどの要素が溶け込んだサウンドは、きっと多くの方にとって新鮮な体験になると思います。
