スーダンの村で出会った、星空の下の水浴び
Photo: Junji Naito
Photo: Junji Naito
バケツに水を汲んで浴びる、スーダンの水浴び
スーダンには、日本のように湯船に浸かる習慣がありません。体を洗うのはシャワーです。しかし、その「シャワー」も、日本で想像するようにシャワーヘッドから勢いよくお湯が出るものではありません。特に村落部では、バケツに水を溜め、柄杓ですくって体にかける。それがスーダン流の入浴です。
私は男性で髪の毛もそれほど多くありませんから、バケツ一杯も必要ありません。半分ほどの水があれば十分です。シャンプーもほとんど使いません。頭も顔も体も、全部同じ石鹸で洗います。
以前、韓国ドラマ『愛の不時着』で、韓国から来た女性が北朝鮮で「シャンプーが欲しい」と言うと、北朝鮮の男性が「石鹸で洗えばいい」と答える場面がありました。私はそれを見ながら、「まさにスーダンだな」と思っていました。
日本に帰り、自宅の風呂に入ると、妻によく叱られます。「あなたが入った後は、垢が大量に浮いている」と言うのです。スーダンでの簡素な水浴び生活に慣れてしまうと、日本の風呂で初めて、自分でも驚くほど汚れが落ちるのでしょう。
お湯のない寒い季節の水浴び
スーダンにも寒い季節があります。気温は十数度ほどですが、空気が乾燥しているため体感温度はかなり低く感じます。寒さに慣れていないスーダン人たちは、警備の仕事をするときにダウンジャケットを着込み、震えながら立っています。
そんな寒い日でも、お湯が出るわけではありません。冷たい水をバケツで浴びるのです。最初は勇気がいりますが、不思議なもので、気合を入れて浴びてしまえば、終わった後はかえって爽快感があります。
Photo: Junji Naito
村で経験した、星空の下の水浴び
地方に行くと、外で水浴びをすることもありました。満天の星空の下、素っ裸になって水を浴びる――あれは本当に気持ちの良い時間でした。人工の光が少ないスーダンの夜空は驚くほど美しく、まるで宇宙の中に自分一人が立っているような感覚になります。
ポートスーダンで出会った、塩水シャワー
2023年の内戦後、私はハルツームへ行けなくなり、現在はポートスーダンを訪れることが多くなりました。こちらではホテルのシャワーを使えます。ちゃんとシャワーヘッドもあります。しかし、新たな問題がありました。出てくる水が塩水なのです。
いつもの癖で石鹸で髪を洗うと、石鹸と塩分が反応し、髪の毛が固まってしまいます。体も常に汗でべたついているような感覚が残ります。まるで海水浴をした後、海の家で海水そのままを浴びているような気分です。長年スーダンに滞在してきましたが、これはなかなか不快でした。
そこで最近は、日本からシャンプーとアルコールティッシュを持参しています。塩水シャワーを浴びた後、全身をアルコールティッシュで拭くと、不快感がかなり軽減され、快適に過ごせるようになりました。
もう一度、星空の下で水を浴びたい
それでも私は、また地方へ行き、星空の下でバケツの水を浴びたいと思っています。便利さでは日本の風呂にはかないません。しかし、あの簡素な水浴びには、人間が自然の中で生きていることを思い出させてくれる、不思議な心地よさがあるのです。