【汗だくなのに香水は必須】スーダンの香り文化がすごい

BEAUTY・FASHION
【汗だくなのに香水は必須】スーダンの香り文化がすごい

日本では「汗の匂いを消すこと」が清潔感の基本です。制汗剤、汗拭きシート、無香料スプレー。公共の場では“香りを強く残さない”ことがマナーとされてきました。

一方スーダンには「汗をかくからこそ、香りをまとう」という文化が根付いています。

香りは“おしゃれ”ではなく礼儀

スーダンには、こんな言葉があります。

「バフール(香)は魂の食べ物だ」

人に会う前。
来客を迎える前。
モスクへ行く前。

香りは「おもてなし」であり「敬意」であり、その人自身を表すものとして扱われています。日本でいう身だしなみに近い感覚です。

スーダンの人たちは、かなり清潔好きです。高温の気候のせいもあって、一日に何度もシャワーを浴びる人も多くいます。きちんと汗を流して体を整えたうえで、香りを重ねていきます。

無臭は、スーダンでは必ずしも清潔の証とはなりません。むしろ「準備していない」「相手を大切にしていない」という印象を与えることさえあります。

家庭で作られる女性たちの香り文化——クムラとディルカ
お手製の香水たち

家庭で作られる女性たちの香り文化——クムラとディルカ

スーダンには、

  • クムラ(خمرة / Khumra:練り香水)
  • ディルカ(دلكة / Dilka:香り付きスクラブ)

という伝統的な美容文化があります。

クムラは、サンダルウッドやムスク、花のオイルなどを混ぜて熟成させる手作り香水。
ディルカは、香料を混ぜたボディスクラブで、肌を磨きながら香りをまとわせるために使われます。

これらの多くは家庭で作られており、お手製のクムラやディルカを近所の主婦たちが買いに来ることもあります。

「○○さんのクムラは香りが長持ちする」
「△△さんのディルカは肌がつるつるになる」

そんな口コミが広がり、地域の女性同士のつながりにもなっています。スーダンの暮らしや女性同士のつながりが色濃く表れる文化です。

スーダンではこのレシピが、母から娘へ、祖母から孫へと口伝えで受け継がれてきました。

結婚と香りの文化
結婚式前の香水作り

結婚と香りの文化

クムラやディルカ、またこちらの記事でご紹介した「浴びる香りドゥハーン」は、もともと婚約中または既婚女性と結びつきの深い香りの文化です。

伝統的には、若い未婚女性が既婚女性のような濃厚な香りを控える価値観が見られることもあります。香りには、女性の成熟・美しさ・夫婦の親密さを高めるを表す意味も込められてきました。香水は、単なるファッションではなく、結婚や家庭とも深く関わっています。

例えば結婚式の前には、花嫁の母親や親族の女性たちが中心となって、花嫁のための香水や香りのアイテムを手作りする文化があります。家庭ごとに配合が異なり、このレシピが、母から娘へ、祖母から孫へと口伝えで受け継がれて大切にされています。

「匂いを消す国」と「香りを重んじる国」

日本では、「匂いをさせない」ことが社会的な美徳とされてきました。日本のドラッグストアに行けば、匂い対策の棚がいかに豊富かがわかります。公共の場での香水も、時に香害として問題視されています。

スーダンでは、香りは家族や地域のつながりとも密接に関わり合うものとして大切にされてきました。香水だけでなく、空間に焚く香りや服にまとう香りなど、さまざまな香りが身体や空間に用いられます 。香りを持たない状態は、準備が整っていない状態とみなされるケースさえあります。

どちらも清潔感や相手への配慮を大切にしている点では同じですが、その表現方法が違うんですね。

「良い匂いとは何か」
「清潔とは何か」

これらは、文化の中で形作られているのかもしれません。