特定非営利活動法人ロシナンテス

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スーダン2021.11.25

崩壊した壁、読めない黒板…学校建設を再開

事業再中断と再開

今まで栄養改善、水に関する事業を行ってきたスーダン中部に位置する北コルドファン州オンムダム・ハージ・アハメド地域オンムサマーマ区で、学校の建設、改修を予定しています。2019年の政変で中断し、2020年1月に事業を再開しましたが、新型コロナの影響で日本人駐在員が日本に退避することとなり、再び中断していました。

2020年1月からの約3か月で、関係省庁や現地パートナー、地域住民との協議を重ね、建築業者の選定に取り掛かり、さあこれから!と意気込んでいたタイミングでの中断で、地域住民はもちろん、省庁やロシナンテスの職員を含め関係者一同、残念な気持ちでいっぱいでした。2021年2月に日本人駐在員がスーダンに再赴任し、事業実施に向けて準備を行っています!

地域住民と行政職員、ロシナンテススタッフの協議の様子

新しい現地パートナーとの協働

これまで北コルドファン州で行う事業は、スーダンのNGOであるSIDOを現地パートナーとして活動してきました。しかし政変後の混乱により2020年11月に解体され、一緒に活動することができなくなりました。そのため、今回の事業再開にあたっては新たな現地パートナーを探すことから始めました。北コルドファン州の州都オベイドで複数のNGOを訪問し、NGO管轄省庁の承認を経て、2021年8月にAORD(Alsalam Organization for Rehabilitation and Development)と合意文書を交わし、現地パートナーとして協働していくことになりました。

AORDは2006年に設立され、スーダン国内に9か所の拠点を持つ組織です。スーダンで教育、水・衛生、食料安全保障と生計、人材育成など多様な開発支援事業を行っており、学校建設の経験や事業地であるオンムサマーマ区での事業の経験も持っています。心強いパートナーが得られ、職員一同嬉しく思っています。

教育制度改革で学年構成が変更に

2019年の政変は、政策の改革、省庁の大臣や役職者の交代など、ロシナンテスの事業にも様々な影響を及ぼしています。本事業にとって大きな影響の一つは、教育制度の改革です。政変前のスーダンの教育制度は、初等教育8年、中等教育3年でしたが、政変後には初等教育として小学校6年、中等教育として中学校3年、高等学校3年という形に変更されました。元々の学校建設事業では、初等教育8年の学校を建設、改修する予定でしたが、学校制度改革により小学校を対象とするのか、中学校を対象にするのかを検討する必要が出てきました。

北コルドファン州教育省、地域住民、現地パートナーのAORDと協議した結果、小学校を対象とすることに決まりました。校舎の老朽化が最も激しく、事業を中断していた期間でさらに壁や屋根の崩落が増えたことが大きな要因です。

壁が崩れた校舎
老朽化で字が読みにくい教室

本事業では、子どもたちが安心して学べる環境を作るべく、教室だけではなく、トイレや手洗い場、焼却炉、学校を囲むフェンスも建設、改修していきます。

専門家とともに再調査

事業を中断していた期間で学校の状況が変化しているため、専門家とともに再度調査を行いました。写真のとおり、壁の崩落は複数個所に渡り、黒板も老朽化が進んでチョークで書かれた文字が非常に読みにくい状態になっていました。

再調査の様子

本事業の対象は3校ありますが、全ての学校の再調査を行い、倒壊リスクの高い1校は新規建設、残りの2校は改修を行うことになりました。現在は、建設、改修のための仕様書等を準備し、これから建設業者の選定を行っていく予定です。


集まってきた地域の子どもたち