特定非営利活動法人ロシナンテス

活動報告ブログ

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その他2013.09.09

奄美大島の散髪屋

帰国した際に、奄美大島に行きました。
これで、三度目の訪問です。
徳洲会病院から、講演のために呼んでいただいたものです。
三度目となると、それなりに大島の雰囲気がつかめてきます。
講演はさておき、最大の目的は散髪屋さんに行くことでした。
いやらしいほどに、のびきった髪の毛です。
NHKのプロフェッショナルをご覧になれば、その乱れた髪がご覧に慣れると思います。
街を歩いていきます。
そんなに大きくない街で、だいたいの場所をつかみ、
ここらへんと、しばらく歩いていくと、ありました。
私のお気に入りの散髪屋さんが。
店の中に入りますが、冷房はもちろんの事、電気は点いてなく、人っ気がありません。
しかし、表の散髪屋さんにある赤と青のクルクルとまわるやつは確かに動いています。
奥に声を掛けると、
出てきました。御主人様が。
「俺の事、覚えていますか?」
「もちろんだよ。川原さんでしょ!」
「良く覚えていましたね」
「だって、また来るって言ったじゃない」
この短いやり取りに感激しました。
そして、「俺の散髪屋はここだ!」と、再び固く心に誓ったのです。
御主人は、電気を点け、冷房を入れてくれます。
そして、散髪をはじめます。
大胆に髪の毛を切っていきます。
何度か、くしを下に落としながら。
私は普段シャンプーを使いません。
スーダンにいるときは石鹸でしか洗いません。
そのためか、自分でも臭いと思う時があります。
獣の臭いがします。
髪から発するのか、身体から発するのかは不明ですが、
とにかく、臭いです。
その臭さがあるからか、御主人は言います。
「シャンプー使ったほうがいいよ」
はい、そうします。
「髪の毛が多い方だから、かなりすいたからね」
「まゆやら、襟足やら、自然な感じにしとくよ」
はい、なんでもお任せいたします!
この御主人、沖縄が戦火にまみれたときに、奄美大島へ疎開して、
それ以来、奄美大島に移り住んでいるそうです。
「散髪屋は師匠次第だからね。俺の師匠さんは鹿児島におったとよ。俺の師匠さんは、東京の銀座で修行して、鹿児島に戻ったとよ。腕は確かやったよ」
そうか、俺のこの頭のスタイルは、昔の銀座のスタイルか!
「講演会があるんやから、かっこよく仕上げとったよ!」
本当に、さっぱりとしています。
最後に店を出るときに、御主人にこう言いました。
「ありがとうございます。また来るね!」
つぎにいつ行くのか、全くわかりませんが
「親父、俺が行くまで、店を開けとってくれよ!」
と、心の中で願うのでした。
川原尚行