クレヨンしんちゃん
ラマダンの夜長、スーダンはまるで昼夜が逆転してように、夜は賑やかになります。
通りに人と車があふれ、やけに人々が明るい顔をしています。
昼間に飲食を禁じられる、そのことがあるからこその笑顔でしょう。
この笑顔を見れば、自由も良いけれど、禁止するのもたまにはアリなのかとも感じます。
さて、そのようなラマダンの夜にハルツーム大学で日本大使館とスーダンの文化省が主催しての
映画鑑賞会がありました。
夜の9時半からのスタートです。どうしても、お祈りがありますので、遅い時間での開始となります。
そして、題目はなんと「クレヨンしんちゃん 戦国大合戦」でした。
スーダンで見るクレヨンしんちゃんは如何なものかと、自分自身にも、そして周囲のスーダン人の反応も気になりました。
まずは、お決まりの、しんちゃんの尻ふりが炸裂しますが、スーダン人の若者は平気な顔で笑っています。
もうすでに、日本のアニメはイスラムにおいても、立派な市民権を持っているようです。
それからは、スーダン人の反応を気にせずに、安心して映画に集中しました。
映画の中身は、戦国時代にさまよってきたしんちゃん一家が、戦乱に巻き込まれるという単純なものですが
その中に、姫と武将の禁じられた恋などがあり、私は深く見入ってしまいました。
おそらくは、スーダンで見たからでしょうか、
この映画が問いかけているところは、「ひとは如何に生きるか!」
ということではないかと思いました。
ひとには、逆らえない運命があり、でもその中で抗いながらも、最後は運命を受け入れていく。
映画が終わり、劇場を出ると頭上には、満月がありました。
ラマダンが半分、過ぎたのだと思いました。
そして、スーダンのラマダンの月がしんちゃんの顔に変わっていきました。
クレヨンしんちゃん偉大なり!
川原尚行