27年前の春
日本の春。
卒業式、そして桜の花が咲き、入学式があります。
入試があり、合格した人、不合格だった人がいます。
それぞれの春を迎えているのでしょう。
私の高校時代、ラグビーに明け暮れ、11月までは、ラグビーの全国大会に出場を夢見て、結果、涙を流しましたが、
3年生の12月になってから、ようやく勉強を始めました。
現役合格できるはずもありません。
合格発表を見に行き、不合格を知ります。
落ちて当たり前なのに、ショックだったのでしょう。
帰りの駅でおつりをもらうのを忘れていました。
きっと、駅員さんは、一目で、「こいつ、落ちたな」とわかったことと思います。
一浪して、合格する自信はありましたが、
二次試験の数学の難問に絶対に解けると挑んで失敗し、
その後の簡単な問題が時間がなく十分に答えられませんでした。
「落ちた!」と自覚しました。
試験を受けた後、家に帰り、自分の持っていた金をかき集め、
福岡から沖縄に向かう飛行機に乗りました。
生まれて、初めての飛行機です。
機内のラジオで、流れてきた曲が尾崎豊の「卒業」でした。
強烈な印象が残っています。
沖縄本島から船に乗り、波照間島まで行きました。
そこで、島で知り合った人たちと、酒をがんがんと飲んでいました。
一度だけ、家に電話をしました。
当時、大学生だった今の家内にプレゼントしようと、星の砂を買いました。
そのときなぜだか、私が海で遭難したとの噂が流れていたようです。
どこから、そんな噂がでたのか、わかりませんが、家内は相当に心配したようです。
波照間島で、本当に気分が一新し、また勉強するぞ、との意欲で家に帰ってきました。
そして、一応、大学の合格発表を見に行きました。
案の定、私の受験番号はありません。
わかっていても、ショックを受けます。
そして、JRの駅で切符を買い、またしてもおつりをもらうのを忘れていました。
昨年と全く同じことをしています。
そして、二浪目です。
勉強自体が楽しく感じるようになり、成績が伸び悩むことは一度もありませんでした。
たしか、成人式の日が共通一次(昔はこういっていました)があり、
私にとっては「成人式って何?」といった感覚でした。
二次試験も難なくこなし、同じ高校出身で二浪仲間だった千洋くんと一緒に合格発表を見に行きました。
二人とも合格して、そのまま酒屋に行って、酒をしこたま買い込み、
他の浪人仲間と一緒に海ノ中道公園に行きました。
そこで、「俺たちだけで成人式をしようぜ!」と酒をがんがんと飲みました。
公園管理の人がやってきて、「ここは禁酒です」と言われましたが
二浪して、今日が合格発表だったこと。
自分たちだけで成人式をしていること。
などを話すと、事情を理解してくれ、
「それじゃ、大いに飲みなさい!」
と、言ってくれました。
そんな時代でした。
それから27年が経ちました。
娘の大学受験でした。
無事に合格しました。
その娘が、東北に行きたいといい、今週末からロシナンテスの活動地である宮城県亘理町に滞在します。
父親として嬉しい限りです。
人それぞれに「春」を迎えていることでしょう。
サクラは、どんな人の前でも、変わらず、きれいに咲くことでしょう。
スーダンに戻る前にきれいな桜が見られるといいな!
川原尚行