ゼイン君の入学
ロシナンテスでサッカー教室を行って、もう数年が経過しています。
昨年は、天の川プロジェクトで、このサッカーチームから西條コーチが選んだ5人を
南スーダンの子供達と北スーダンの女の子と一緒に日本に連れて行きました。
宮城県名取市の閖上小学校中学校の子供達と一緒に運動会を行いましたが、
今でも、そのときの子供達の笑顔が忘れずに私の記憶によみがえってきます。
この大運動会の後、スーダンの子供達が涙を見せていました。
「津波という大災害にあっても、私たちを暖かく迎えてくれた」
そのような気持ちからの涙でした。
涙したスーダンの子供達の中にゼインがいました。
とても、純粋な男の子です。
それから、スーダンに戻ってきて、ゼインが私のところにやってきます。
「日本が大好きになりました。日本で勉強がしたいです」
ゼインの純粋な気持ちは理解できますが、実際に一人のスーダンの子供を日本で勉学させるには、一体どうしたらよいのか?
全く見当もつきませんでした。
昨年から、いろいろと情報を集め、今年、ゼイン君を北九州の九州国際大学付属高校に受験させることとしました。
それまでに、我々スタッフが日本語を教えたりして、一生懸命に勉強させました。
そして、今年の1月24日、ゼインの受験が行われました。
結果は、見事合格です。
一旦帰国して、スーダンでの統一試験に臨みます。
大学に行くための共通テストみたいなものです。
スーダンは、日本とは学制が違い、8年の基礎教育に3年の高等教育です。
そのあとに、大学に進学です。16歳のゼインは、実は大学に行く年齢ですが、
日本では高校受験させました。
北九州でホームステイすることになりました。
とても暖かい家庭が、受け入れを快諾してくださいました。
4月9日、快晴のもと、そして桜が満開の時でした。
入学式が行われました。
晴れがましいゼインの制服姿です。
ゼインは、サッカーが得意で、高校でもサッカー部に入りたいと言っていましたが、
なんとスーダンで怪我をしてしまい、日本に来たときは足を引きずっていました。
済生会八幡病院に連れて行き、骨折が判明。
半年以上、プレーはできないことがわかりました。
大学時代の友人が見てくれました。
これもお天道様からの何かの啓示でしょう。
担任の先生は、私の故郷の山路の人です。
一見して、熱血漢の先生です。その先生が放課後、日本語の特訓を行ってくださるようです。
まずは、日本語をしっかりと勉強しなさいということでしょう。
ゼインのクラスには、私の中学校の先輩の御嬢さんもいらっしゃいます。
彼女は、私の娘の中学時代のバレーの後輩でもあります。
隣のクラスには、東北事業本部長の大嶋君の息子さんもいます。
地元にいれば、このようにすべてに関して、何らかの関係を持つことが出来ます。
ゼインが私の故郷で、高校生活を開始したことは、本当に私にとっても至上の喜びです。
ゼインが彼のお父さんや家族にあてた手紙を日本から持ってきましたので、それを渡します。
電話でお父さんの弾んだ声も聞こえました。
政治的に全くもって不安定なスーダンですが、明るい光も見えてきます。
この光を大切にしていきます。
川原尚行