南スーダンへ行くまで
スーダンでの追悼式の翌朝、ハルツームを出発して南スーダンの首都のジュバに行きます。
追悼式の後、ハルツーム大学の前学長さんがヨルダンからスーダンに一時帰国してきたので、ご挨拶に伺い、
家に戻ったのが、夜中の12時近くでした。
それから、ちょっとしたデスクワークをこなし、少しの間だけ横になり、起床します。
3時です。
それから、岩間さんにハルツーム空港まで送ってもらいました。
南スーダンが独立したとはいえ、ハルツームからジュバまでは、まだ国内線です。
国内線ターミナルでは、南部へ帰る人でごった返しています。
なんといっても、荷物が多いのです。
本当はナイル川の船で南へ帰るのが、荷物もたくさん運べて良いのですが、これは現在政治的な影響もあり
運行されていません。
さて、前回南スーダンに行ったときは、まだ独立する前でした。
独立する前なので、私の身分上(NGO関係者)なので、スーダンでの移動許可が問題となります。
これが、結構面倒でした。時間も労力もかかりますが、このスーダンのNGOを統括するHAC(人道支援省)から移動許可を取得して
南スーダンに行きました。
今度は、南スーダンが独立しました。
どうすればよいのか、ロシナンテスのスーダン人スタッフに聞いても、誰もわかりません。
日本大使館にお伺いすると、ケニアで南スーダンのビザを取得していくのが一番だと言います。
ちなみに、日本そして欧米諸国、国連は、南北スーダン間の移動は、国内線を危険という理由で移動許可してなく
すべてナイロビ経由で行っているようです。
しかし、私がナイロビ経由で行くのには、時間もお金もかかりすぎますので、避けたいところです。
どうやって南スーダンに入国してよいのか、わかなないままに時は過ぎ去っていきます。
そして、JICAの方が50ドルでジュバ空港でビザが取得できますよと教えてくれたので、
ハルツームでは、何もせずに、パスポートと飛行機のチケットを持って空港に行きました。
大きな荷物を持った人たちにもまれながら、空港内へ入っていくと、まずはセキュリティチェックを受けろ、との指示です。
ここさえクリアすれば、大丈夫です。
以前は、サッカー関連で今井さんが南スーダンに行く際には一時間以上、ここで足止めを食らいました。
結局は行くことが出来たのですが、相当に大変でした。
私は、パスポートとチケットを係員に差し出します。
すると、ちょこちょこと私のパスポート情報をペラペラの紙に書き込み、
「いいよ」
とのこと、
いろんなことを想定していただけに、拍子抜けの感じでした。
欧米系のNGO関係者らしい男性が、同様にセキュリティチェックを私の次に行いました。
なんと、彼はパスポートを持っていませんでした。
それで、移動許可証とHACからの身分証明書だけを提出しました。
私は、こりゃだめだろう、と思っていましたが、案の定、セキュリティから突き返されていました。
私もよくこんな経験をしましたので、よく心境がわかります。
彼は、「なぜ」という感じで、誰かに救いの電話をしています。
これも、私が良くやることです。
でも、今は朝の4時です。
私の勘では、これは無理だろう、と思い、私はチェックインを行い、ゲートをくぐっていきました。
飛行機を待っているとき、なんと彼が中に入ってきました。
パスポートが戻ってきたとは考え難く、なんとかしてセキュリティを通過したのでしょう。
でも、パスポートなしで南スーダンに入れるのでしょうか?
朝の6時すぎ、飛行機に搭乗するように、アナウンスがありました。
いよいよ飛行機に乗ってジュバに向かいます。
川原尚行