スーダンでの追悼式
スーダン時間での朝8時46分、私は上りつつある太陽を見つめていました。
あれから、一年が経ったのだ。
暑いスーダンから、まだ寒いであろう東北に思いを寄せていました。
夜、大使公邸で追悼式が開かれました。
用意されたスクリーンに津波の被害の様子が映し出されます。
スクリーンに映る映像から、私は実際に自分の目で見た光景を思い浮かべます。
あれから、復興するのは、並大抵なことではないと改めて感じます。
そして、東北で頑張っている皆様方にもエールを送る気持ちになりました。
大使のあいさつ、スーダン政府代表のあいさつ、そしてインターナショナルスクールの代表の生徒さんたちの
あいさつがありました。
最後に登場したのは、昨年天の川プロジェクトで被災地である宮城県名取市閖上を訪問し、閖上の子供達と一緒に
運動会をした南北スーダンの子供達です。
運動会の最後に流れたしおりさんのスマイルという曲で退場し、涙を流すスーダン人の子供も多くいました。
それからスーダンに戻っても、スマイルが大好きになり、しおりさんからもらったCDをみんなで聞いていました。
アフリカの人たちは、耳がとてもよいです。
勉強するのも、ノートをとりません。聞いているだけのことが多いのです。
そのためか、日本語でスマイルを歌えるようになったのです。
そのことを大使館の方にお話しすると、ぜひとも追悼式で歌ってください、と言われました。
本当にありがたいことでした。
南の子が8人、北の子が7人。
試験期間中(スーダンの統一試験で、みんな一生懸命に勉強しています)で欠席した子もいましたし
もうすでに南に帰った子もいました。
でも、15名も揃っての合唱です。
「その頬を涙で濡らさないで、君の心に光を
生まれたときからずっと誰かに支えられて生きてきた
振り返って思い出してごらん 君は一人じゃないんだよ
君の笑顔が一番好きなんだ 君の笑顔がみんなを幸せにする
だから笑っていて この青空の下で 君よ 強くなれ!」
と南北スーダンの子供達が、素晴らしい表情で歌い上げました。
日本大使をはじめ、各国の大使、そして何よりスーダンの方々が、
南北スーダンの子供たちが、日本語で、それも力強く歌い上げたのには、本当に驚いたようでした。
歌詞の内容がわかる日本の方々は、涙が出そうになったと仰ってくれました。
先日、一足先に南に行ったナレダにも一緒に歌わせたかったです。
そして、閖上の子供達にも、この歌声が天を通じて響いてくれると願っています。
南の子は、4月8日までに南に行かないといけません。
それから先、どうなるのかは全く分かりません。
しかし、いつかまた北の子と一緒に、しおりさんのスマイルを歌うようにしないといけません。
その時は、日本の子も一緒だといいですね。
今以上の困難さを伴うでしょうが、それを実現させていくのが、我々大人の務めだと思っています。
私は、個の歌声を聴いた後の数時間後に、南へと飛びます。
ナレダに会えるかな?
川原尚行