スーダン人医師からの問いに
スーダンの医師たちから、よく聞かれることがあります。
「日本の震災のあとはどうなっているの?」
「原発はどうなの?」
「日本のことだから、すっかり立ち直っているよね」
この問いに、どう答えてよいのか、困ってしまいます。
実際に、ロシナンテスも東北で事業所を持ち、大嶋君と中心として活動を継続させていっているだけに
状況はよく理解しているつもりです。
今、私が真剣に思っているのは、
「日本はどこへ向かっているのか?」
という、問題です。
それが、あるために、スーダンの医師たちに聞かれても、まともに答えが出てきません。
先日、日本で懇意にしているNHKの方から、内橋克人さんの番組を紹介してもらいました。
インタビューと少しの映像だけの構成でしたが、私自身、相当に感動して見入っていました。
戦争に突入していった日本、戦後の日本、どうも、まともに日本人は物事を考えてこなかった
内橋さんは、「頂点同調主義」という表現をしていました。
つまり、御上(政府)が言うことに盲目的に従ってきた日本人がいる。
しかし、もはや一人一人が考え、行動しないことには、どうにも立ち行かなくなってきている、
そして、震災後の日本も、わけのわからない復興が進みそうな気配がしている。
「ショックドクトリン」
何かのショックの後に、どさくさに紛れて、いろんなことを行えるという表現のようで
震災の復興という名のもとに、お金だけ相当につぎ込んで、人の魂はどこに入るのだろうといった
構想があり、そこにまた頂点同調主義で何も考えずに、突っ込んでいく気配がある、
これは、戦中の日本と同じではないか、と戦争で近しい人を亡くした内橋さんが涙を流して訴えていました。
防空壕のいつもの自分の指定席に、たまたま内橋さんが虫垂炎で入院していて、かわりに
自分のお世話になっているおばさまが防空壕の指定席に逃げ込んで、空襲で直撃されて亡くなったという話もされていました。
歴史は続いています。
スーダンの医師たちからの問いに、ここまで突っ込んで考えてみました。
スーダンの食べ物は見かけは悪いですが、とっても美味しいです。
人参には人参の味が、玉ねぎには玉ねぎの味がします。
ねぎの独特の辛さもあります。
それには、アフリカの大地のと太陽とナイルの水の恩恵が感じられます。
日本は、広島、長崎そして福島と国土が放射能に汚染されてしまいました。
百年後の我々の子孫のことを考え、今どうすべきか!
そして我慢すべきは、我々の子孫のために我慢する覚悟が必要だと思います。
川原尚行