特定非営利活動法人ロシナンテス

活動報告ブログ

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スーダン2012.02.19

九大外科の先生方

今回の先生方の来スーダンは、スーダン政府から資金が出ています。
当初は、二名分の渡航費用を出すと言ってきましたが、直前になって一名分しか出せない、と謝罪が入り
ロシナンテスが一名分の渡航費を持ちました。
しかし、ホテル代は二名分、スーダン側が拠出してくれました。
減額されたとはいえ、このことは、すごく大きなことのように思えます。
援助され続けてきたスーダンがお金を出してきたのです。
その気持ちが、良く理解できますし、ありがたいことです。
先生方にもその旨を理解してもらいました。
今回の渡航者は調さんと戸島君です。
調さんは、私が入局したときに、ちょうどアメリカへの留学を終え、大学に戻ってきたばかりでした。
大学に戻りたてというのもあってか、大変厳しい方という印象でした。
しかし、本当によく指導してくださったと感謝しております。
たまに、あまりに厳しい指導があったために、調さんが医局にいてカップラーメンを食べようとしていた時に
病棟から呼ばれて、席を離れたときに、私はそのカップラーメンを気づかれないように3分の1ほど食べたことがあります。
病棟から戻ってきて、少なくなっているカップラーメンをちょっと怪しげな目で見つめて、でも美味しそうに食べられる調さんがいらっしゃいました。
今から20年くらい前のことです。申し訳ございませんでした。
その調さんと戸島君は、私が所属していた肝臓グループです。
さて、我が国政府が無償で建てたイブン・シーナ病院があります。
ここで内視鏡下手術のワークショップがあり、戸島君が二日続けて内視鏡下肝切除と脾切除の講演を行いました。
スーダンの医師たちにあちらこちらに呼ばれて、深夜まで二人の先生を引きづり回し、私も疲れ切って戸島君のベッドの片隅に
寝かせてもらいましたが、深夜3時に戸島君が起きだして発表の準備を行いだしたのには、わが教室の厳しさの一端を見るようで
大変うれしく思いました。
スーダンの医師がCTの写真を持ってきます。
20代の若い女性の患者さんです。
肝臓癌のようです。
ギリギリのところで、肝機能次第では手術可能だとの判断をしました。
肝機能はどうかと聞くと、正常との答え、でもデータはありません。
そして、よく見るとCTは8か月前のものです。
今のCTを撮らなければ、手術適応は決められません。
しかし、血液検査、そしてCT検査をひとつとるにも、お金が必要です。
おそらく、CTが必要といえば、一族郎党からお金をかき集めて、CTを撮影するでしょう。
しかし、それは1週間後になるのか1か月後になるのかわかりません。
8か月前のCTも、そのような状態で撮影されたものと思われます。
結局、今回は手術の見送りとなりました。
8か月までであれば、何とかなっていたかもとの事が頭によぎります。
そのためにも、日本とスーダンとの医療連携ができればと考えます。
その後、学会がホテル内であり、二人の先生方は見事な発表をされました。
このホテル、リビアのカダフィが建設しました。
もう殺されてしまいましたカダフィですが、その遺物のようなものです。
学会の途中、スーダンの民家に寄りました。
そこで、普通のスーダン人の暮らしに触れてもらいました。
子供がそのへんを走り回ります。
大家族制ですので、子供があふれています。
また、ハルツームの郊外へ行く途中、市場で購入したスイカを木の下で、スパナで叩き割り
みんなで食べました。
冷蔵庫で冷やしてなくとも、こうやって食べれば美味しいものです。
どこからやってきたのか、スーダンの子供達がよってきて、スイカをわけてあげました。
子供たちの笑顔を見ながら食べるスイカの味は格別です。
両名の先生方が言います。
「何が幸せなんだろう?」
幸せにもいろんな形があります。
川原尚行