村からの寄付
昨日、ハサバッラ村の隣にあるワッデル・ハーディ村に行きました。
井戸の完成式への出席です。
今までは、アトバラ川まで水を汲みに行かなければならず、これは重労働です。
村から川までは一時間ほど歩いてかかります。
行きはよいのですが、帰りは水があるために大変です。
それを一生懸命に毎日村の人たちは頑張っていました。
また、水の事故も後を絶ちませんでした。
水を汲みに来て、足をすくわれて、溺れて亡くなったケースが年に数例起きていました。
もう、今後はその心配は入りません。
今回の井戸堀そして給水所の完成には、浜田省吾さんの関連のJ.S.Foundation様、それに
大阪のうつぼロータリークラブ様からの支援で行われました。
この場を借りて、厚く御礼申し上げます。
本当に村の人たちは大喜びです。
さて、完成式での私のスピーチは、水のことだけでなく、東日本大震災に関しても述べました。
そして、避難所の子供たちから送られた「つなぎ」を村の人たちに見せました。
「彼らは、近しい方を亡くし、財産も亡くしました。
でも、私にお礼がしたいと支援品の中からこの「つなぎ」を選び、
そこに私へのメッセージを書いてくれました。
私は涙を流す程に嬉しかったです。
誰からこれを何億円というお金を摘んだとしても、私は決して売りません。
これは、プライスレス(お金で価値を付けられないもの)です。
今、日本が苦しんでいます。
今までは、日本はスーダンを支援してきました。
今回、この一度だけ、スーダンが日本を支援してください。
金額の多寡ではないのです。気持ちを届けたいのです。
どんな金額、どんなものでもスーダンから日本に支援があれば、それはプライスレスなものなのです。」
このようなことを述べたところ、ワッデルハーディの有力者たちから支援金を頂きました。
そして、夜、私が疲れて寝ていると、村人たちが私を起こします。
「ドクトール、多くの村人がドクトールを待っているよ」
診療所の前には、私を待つ多くの村人がいました。
そして、私の前に広げられたゴザの上にコインや1ポンド紙幣が投げられます。
本当に涙が出そうでした。
金額の多寡ではなく、村人からの気持ちをいただきました。
彼らにはロシナンテスを通してしか日本を知らない裕福でない彼らが、彼らの身銭を切ってくれたのです。
これを東北に届けます。
スーダンの人々の気持ちを届けに東北に向かいます。
今朝の3時に村を出発して、ハルツームに向かい、仕事をこなし、夜にスーダンを出発します。
村の人々からの支援とは別に首都のハルツームでも、支援を募っています。
私の医師仲間、そして今日はハルツーム大学の学長にもお会いして、支援をお願いしてきました。
スーダンの人々は、「分け与える」ことを知っています。
スーダンの国情は大変ですが、このスーダンの人々の気持ちを届けます。
川原尚行