ハサン、砂金、そして高校時代の悪友
政治の話は別にして、われらがハサンの様子をお知らせします。
砂金を探しに砂漠に行ったハサンが元気に村に戻ってきました。
先日、ハサバッラ村を管轄する市長さんのお宅にお邪魔した際に、ハサンの話になり、
「ハサンは、砂金を取りに砂漠に行ったんだよ」
と、市長もご存じで、
今日は、隣村の患者さんを診察しに行った際にも、隣村の人たちからも
「ハサンは金を見つけてきたのだろうか?」
と、私に問いかけられました。
ここは、プライベートというものがなく、面白いくらいにハサンの動向を皆が知っています。
結果は如何だと思います?
「砂金などなかった!」
とハサンは言います。
みんなは、
「そうだろ」
と、頷きます。
そして、私と二人になった際に
「ドクトール、実は砂金は見つかったんだよ」
驚く私は
「すごいじゃない!」
「見つかったのは見つかったんだけど、あるのがわかっただけなんだ。
だから、今後掘り出さなけりゃいけないんだ。
ドクトール、力を貸してよ。ブルドーザーが必要なんだ。
もう中国人、エジプト人がたくさん金を探しに来てたよ。
はやくしなきゃ。
砂金を見つけたら、そのお金でこの村を立派な街にしたいんだ!」
とのことで、どなたかブルドーザーをお持ちの方がいたら
ロシナンテスの川原までご一報くださいませ(笑)。
そして、その直後にシンガポールの高校時代のラグビー部時代からの親友の大島から電話がありました。
当然のごとく、彼は酔っぱらっています。
シンガポールで泥酔して、日本に電話を掛けると皆に迷惑がられるのですが、
スーダンにかけてくるのは時差の関係上問題がないのです。
年に数回、こうやって泥酔して電話がかかってきます。
「川原、俺は今シンガポールで発破をかけたら日本一よ!」
「すげえな!狭いシンガポールだから、ビルをぶっ壊すの?」
「違うよ!地球をぶっ壊すのよ」
「今度、シンガポールに来いよ、一緒に酒を飲もうぜ」
「なかなか行けなくてごめんよ、今度帰国する時は途中に寄るよ。
大島こそ、スーダンに来いよ!あっ!そうだ!砂金を探しに大島が隊長になればいいよ!
得意の土木技術で、一攫千金を当ててよ!ハサンを紹介するから」
と、酔っぱらった悪友を笑い話をスーダンとシンガポールの間で行うのでした。
思えば、大島とは1998年に私がタンザニア、大島がタイへと日本を離れた後、
二人とも日本をずっとあとにしたままになっています。
出国する前に東京で酒を飲んだことを思い出します。
いつか、一緒に何か仕事ができたらよいなあと夢見る私です。
川原尚行