川原理事長にとって「伝える」とは?
こんにちは。インターン生の窪です。
2024年末、ご支援者の皆さま向けに毎月配信している動画シリーズ「ロシナンテの小部屋」の撮影に参加し、理事長の川原さんと初めてお会いしました。
撮影が全て終了した後の川原さんとの交流の時間。撮影の時とまた違うリラックスした様子の川原さんのある一言から始まったお話をしたいと思います。
「あの絵凄かったよねー。」
この一言とブログの表題になんの関係があるのかと疑問に思うでしょう。
私が撮影場所に到着した時、別の動画の撮影をしていた川原さんの目の前の壁には、ペコちゃんに似た素朴な手書きの女の子の絵がはられていました。どうやら川原さんが少し固くなっていたため、職員さんがその場で書いたものだったそう。「女の子」に向かって話すと、自然と子どもに話すような柔らかい語り口調になったのだといいます。
アフリカの現場で活動するだけでなく、日本の学校で子どもに対して話すことも多い川原さんですが、大人に対して行う講演の時でも、小学校の時と同じ口調で話をすると、自然と人の興味を引き、聴きたくなるような講演ができるそうです。絵本の読み聞かせのようなものだと思えばいいでしょう。淡々とした口調よりも抑揚がついた喋り方の方が物語に引き込まれる気がしますし、上手な読み聞かせを聞いていると、次第に言葉が本物の情景として浮かび上がってくるような感覚になります。「女の子」を貼ってからは川原さんの口調と表情が全く違うものになり、いい撮影になったとか。
講義やプレゼンテーションと言えば、スライドやスクリプトなど準備するものが多く、話すよりはるかに多くの時間を取られてしまいます。スライドやスクリプトを作りこみ、準備を万端にして行う人が多いのではないかと思いますが、川原さんは、写真だけのスライドで自由に話をする方が良いのだといいます。
スクリプトを作りこむと、書いた当時から情報が止まってしまいますし、書いた情報以外のことを話そうとするとかえってグダグダになるという経験を私は幾度となくしてきました。その時その場で言いたいと思ったことを、ありのままの自分の言葉で届けるのが川原さんのこだわりです。質問をしてもらって聞いている人と会話をしている時に自然と出てきた言葉が、聞いている人に最も響くのだといいます。すべてをありのまま話すことが難しい時もあると思いますが、1番生き生きしているのはその場で自然と出てきた言葉であると、川原さんのお話を聞いて感じました。
これがお酒を呑みながらの会話の内容なのかと、お話ししている間はもちろんのこと、こうして記憶を辿って書いている間も驚きっぱなしです。リラックスした川原先生から自然と出てきたのであろうこのお話たちは、私にとっては一つの講義のように思えました。