特定非営利活動法人ロシナンテス

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電気供給までの長い道のり……マザーシェルターのその後

こんにちは、ザンビア駐在員の田中です。

2024年の7月にロシナンテスは、ザンビア中央州のチコンコメニ地域にマザーシェルターを建設しました。自宅出産や路上出産など診療所以外で出産したりするケースが多くみられるこの地域で、安心・安全な出産をサポートすることが目的でした。

しかし建設完了から半年がたつ今も、この新設のマザーシェルターは本来の目的を果たせていません。出産待機室のベッドは利用されているものの、分娩室など主な機能が使われていないのです。原因は電気供給の遅れにありました。

診療所のスタッフと話し合う田中と理事の高山医師。

なかなか開通しない電気……

私たちは建設に取り組む前に、電気供給については郡政府が行うことで合意し、建設を進めてきました。建設中も郡政府に動きがなかったことから何度もフォローして、なんとか電気工事を担当するザンビアの会社に申請書を送ってもらうところまでは進んでいました。しかし建設が完了して数カ月建ってから、電気を引く工事に多額の資金が必要であることがわかり、やむを得ずロシナンテスも一部を負担し支払いを終えました。2025年2月に入り、ようやく電気会社が担当者をあてがい、取り組みを始めたばかりです。

アフリカの村落部で活動する際によくあることではありますが、ままならない郡政府の動きを待つばかりでは進まないため、ロシナンテスはこの間、緊急措置としてジェネレーターを提供し夜間の電気供給のサポートなどを行いました。電気は井戸のポンプと連動していることから、電気を供給することで、水を分娩室に供給し、分娩後の妊婦のシャワー、滅菌、清掃に役立てることができるようになりました。その結果、1月にはマザーシェルターで1件の分娩が行われました。

水がタンクに汲み上げられた

妊婦さんに給食を!新しい2つの取り組み

安定して稼働するまでもうしばらくかかりそうですが、今後この地域では2つの取り組みを開始します。

1つは、マザーシェルターでの給食事業です。建設後すぐにマザーシェルターが利用できなかったことで、期待してくださっていた地域の妊婦さんたちをがっかりさせることになってしまいました。改めて、マザーシェルターを利用する意義と期待を感じてもらい、施設での安全な分娩を推奨していくために、1年間の期間限定で出産を予定する妊婦さんたちに食事を提供することにしました。

もう1つは、九州大学のデジタルツール(母子登録とアセスメントツール)を用いた危険症例の早期発見と早期搬送の仕組みづくりです。この仕組みは、産前検診に来た妊婦さんたちに複数の検査キットを使って診断を行い、その結果を4段階で評価し、緊急性の高い妊婦については上位病院とオンライン診療ができるようにする、というものです。その一環として、そのツールを用いたデモを先日、2025年2月に実施しました。

九州大学のデジタルツールを使ったデモンストレーション

近いうちに皆さまに明るい報告ができることを祈りつつ、マザーシェルターが本来の目的を果たし、地域の母子保健に寄与できるよう、関係機関との連携を強化していきます。引き続き見守っていただけましたら幸いです。