スーダン2009.10.25
渡し舟
ナイル川に次々と新しく橋がかかっています。
確かに便利になります。
車であっと言う間に向こう岸にたどり着くのですから。
ロシナンテスのスタッフに赤ん坊ができたことから、そのお祝いに行ってきました。
車で2時間あまり走った後に、白ナイル川を渡らないといけません。
ここにも、中国の企業が来て、橋をかけていました。
それを横目に、渡し舟が行き来しています。
私が着いたとき、ちょうど舟が出て行ったばかりの時で、
しばらく待たなければいけませんでした。
お茶屋により、コーヒーをもらいます。
そして、河岸をぶらりと歩きまわります。
釣りをしている人もいます。
そして、またお茶屋に入り、お茶を飲みます。
のどかなものです。
1時間くらい待ったところで次の舟が来ます。
それに乗り込みます。
舟はゆっくりとしたスピードで動きはじめます。
どこからともなく、歌声が聞こえてきます。
近くの人に聞くと、盲人が歌っているそうで、ゆっくりとした舟に彼の歌声の調子もあっています。
彼までの距離が遠いために、人づてに小銭を渡します。
盲人は、歌い続けながら手をあげます。
橋が出来てしまえば、こんな光景はもう無くなってしまいます。
確かに便利で、1時間も待つことはなくなりますが、
1時間待って、ゆっくりと川の流れを見て、歌を聴くのも格別なものです。
我々が知らず知らずのうちに、失ったものは数限りなくあります。
渡し舟自体は、なくなってしまうのが、この世の流れなのでしょうが、
ひととして、こののんびりとした時の流れを楽しむ「ゆとり」を持って生きていたいですね。
川原尚行