ザンビアで2棟目のマザーシェルター建設を開始
2棟目のマザーシェルター建設が始まりました。
現在、マザーシェルターの土台となる基礎部分を工事している状況で、2024年05月の完成を目指しています。
マザーシェルターとは
マザーシェルターとは、下記のような設備を備えた、出産前後の妊産婦が安全に出産するための施設です。
- 出産待機室(宿泊できる部屋)
- 産後経過観察室
- 分娩室職員の当直室
- 付添家族の宿泊室
- シャワー、トイレ
- 簡易調理場
事業地である中央州チサンバ郡には簡易的な診療所が複数あり、お産を取り扱っています。しかし、入院できる施設のある診療所は多くありません。そのため、妊婦さんたちは、出産予定日に診療所に向かうしかありません。診療所が自宅から遠いことや、陣痛が始まってから移動するのが難しいことから、自宅出産を選ばざるをえない家族が多くいます。
こうした状況を改善するため、ロシナンテスは2021年にムワプラ地域の診療所に併設する形でマザーシェルターを建設しました。
マザーシェルター建設で起きた変化
妊婦さんが宿泊できる場所を近くに整備することで、より確実に診療所で出産できるようになります。感染症や出血多量など、危険な状態になったとしても適切な処置を受けられる可能性が高まるのです。
ムワプラ地域では、マザーシェルター建設後、遠くの病院へ行ったり自宅で出産したりする妊婦さんが減少し、施設での分娩率を大きく改善することができました。
2021年にマザーシェルターを建設したムワプラ診療所で、看護師として働くグエンさんにお話をお伺いしました。グエンさんは大きな街の出身ですが、村落部での医療に貢献したいと強く希望し、ムワプラ診療所へ赴任しました。
滞在してみてどうか、以前と比べどんな変化があったか、実際にマザーシェルターに滞在中のジェニファーさんにもお話を伺いました。
●建設したマザーシェルターについてはこちら
●マザーシェルターができて起こった変化についてはこちら
ムワプラ診療所に建設したマザーシェルターがよい影響を生んでいること、また保健省からも、ほかの厳しい地域でも建設してほしいとの要望があったことから、まずはチサンバ郡内の診療所を対象に調査を行うことにしました。
別の地域でのマザーシェルター建設を決定
チサンバ郡20の医療施設を調査した結果、チコンコメニ地域の自宅出産数と上位の病院への紹介数がとびぬけて多いことが分かりました。また、妊婦の約60%が地域の診療所での出産を避けていました。
インタビューを行ったところ、妊婦さんたちは特にアクセスの悪さから、施設での出産を避けていることが分かりました。しかし、長距離移動や移動資金の不足はどの地域でも発生しています。さらに調査を行ったところ、この地域で特に不満が特に強い背景には、診療所に待合室がないために、出産の兆候が現れてからしか移動できないという、ムワプラ診療所と共通した問題が大きいことが分かりました。
距離の問題は、正確な出産予定日を算出し、予定日以前に余裕をもって施設に滞在できれば、ある程度解決できると考えています。そのためロシナンテスは、この地域に2棟目のマザーシェルターを建設することを決定しました。
起工式を行いました!
2月16日に起工式を行いました。起工式とは、工事の開始を宣言する式典です。中央州の副事務次官、郡の伝統的首長、保健省の政策決定者、郡の保健担当の他、12名の村長、近隣住民約300人が集まり、大変盛り上がった式典となりました。
このような場は、行政や地元住民に対して直接訴えかける良い機会です。
現在供給されていない電気をマザーシェルターに引っ張ってくるため、郡の担当者と交渉していましたが、行政による手続きが遅々として進んでいませんでした。関係者が一堂に会したこのタイミングで、郡の首長から関係者へ執りなす場を設けたり、州の上位の担当者と直接話したりすることで、物事を前に進めることができました。
また、地域の住民に対しては、
- 妊婦が分かった段階で、いち早くマザーシェルターに行くことを促すこと
- その機会にエコー受診をすること
- 万が一の出産リスクに備えてある程度の金額を貯めておくこと
を伝えることができました。過去のムワプラ地域で1棟目を建設した経験から、住民が集まる機会には必ず周知すべきだという教訓を活かすことができました。
このようなメッセージは一回では伝わりません。私たちは今後も様々な機会を利用してメッセージを発信していく予定です。