だるま
前回に帰国した際に、群馬での講演会がありました。
その講演の翌日に、少し時間があったので、恩師の鈴木守先生に達磨寺へ連れて行ってもらいました。
とても静寂な中、大小いくつもの達磨が並んでいました。
いろんな祈願がなされていて面白いものです。
もちろん、選挙のときにはいまだに「だるまさん」が事務所においてあり、
当選の報とともに、だるまの目入れを行っているのをよく見かけますね。
最近では、国際色豊かであり、ワールドカップサッカーでの参加した国々が
母国の勝利を祈って、だるまさんに願をかけたあとがありました。
また、ドイツの建築家ブルーノ・タウトがここに2年間住んでいたことでも有名です。
ここを散策し、最後に大きな緑色のだるまを購入しました。
通常は、だるまは赤と決まっているようです。赤は魔除けの意味もあるようです。
緑にしたのは、これがイスラム・カラーであり、このだるまをスーダンの人にプレゼントしようと思ったからです。
鈴木先生と冗談で、「大統領にプレゼントしようか?」などと話していました。
そして、見事スーダン入りしたこの緑色のだるまがついに日の目を見ることになりました。
大統領とは言わないまでも、大統領補佐官に会う機会が偶然生まれ、彼にプレゼントをすることにしました。
彼は、スーダン人なら誰でも知っている有名な方です。
まずは、このだるまを彼にプレゼントするということが失礼なことであるか、スーダン人に相談しました。
イスラム教徒では、偶像崇拝を嫌っています。
だるまは、見事に偶像です!
結論は、この大統領補佐官は外交に大変精通している人でもあるので
まずは、問題ないだろうとのことでした。
あとは、だるまのあごの部分に、しげちゃんにアラビア語で彼の名前を書いてもらい
私が、日本語で彼の名前、そして裏には、日付とともに「ロシナンテスより」と毛筆で書きました。
大統領補佐官と会う日、私はスーツを着込み、しげちゃんは新調したジャラビーヤです。
しげちゃんの手には、緑色のだるまが抱えられています。
我々が彼の秘書に呼び出され、彼の部屋に向かいます。
自己紹介をした後に、このだるまを彼にさし出します。
彼は、にこやかにそれを受け入れ、「おもしろいものだから、家内に見せよう!」
と、全くフレンドリーな態度で我々に接してくれました。
スーダン政府の高官に会う機会もたまにですがあるのですが、彼ほどにこやかに我々を受け入れた方はいませんでした。
彼からは、「困ったことがあったらいつでもおいで」
と言われました。
事実、スーダン政府との交渉でいつも困っているのですが、これは時間があった時にでもじっくり話すことにしましょうか。
彼の元へと手渡った「だるまさん」が、今後の日本スーダン間のためのかけ橋となってくれることを期待しています。
川原尚行