軍事衝突から4か月ー停戦見通しの立たないスーダンの今
いつも当ウェブサイトをご覧いただきありがとうございます。認定NPO法人ロシナンテスの七條です。スーダンから国外退避をしてまもなく4か月となります。日本ではスーダンに関する報道をほとんど目にすることがなくなったため、ご支援者の皆さまから「現在の状況を知りたい」とご連絡いただくことも増えてきました。今回はロシナンテスとして把握している現地の状況をお伝えします。
スーダンでの軍事衝突の経緯についてはこちら。
都市部ではいまだ激しい戦闘が続く
2023年4月15日に軍と準軍事組織による武力衝突が始まってから4か月が経過しました。隣国や国際社会による調停努力にもかかわらず、首都などでは依然として激しい戦闘が続いています。
国連の発表によると、死者の数は1,200人を超え、400万人以上が避難を余儀なくされており、このうちの約97万人は隣国のチャドやエジプトなどに逃れています。
またスーダンの国際NGOフォーラムの発表によると、国連機関や援助団体に対する強盗・襲撃も増えており、国内医療機関の8割以上は破壊されたり、兵士が立て籠ったりしているために機能していない状態だということです。
ロシナンテスの現地スタッフも地方都市へ避難
5名の現地スタッフは首都ハルツームを離れ、親戚や友人を頼って比較的戦闘が活発ではない地方都市に避難しています。
ハルツームから南へ約350キロ離れた白ナイル州に避難しているスタッフによると、白ナイル州の州都コスティでは、ハルツームから多くの国内避難民が逃れてきており、人々は学校や大学の宿舎で滞在しているとのこと。また、住居や食料品などの金額がやや高い、電気や水の供給が不安定であること、医療サービス、薬品の不足を報告しています。安全面では、軍が配備され、検問所も多数あり安全であると感じていると述べています。
エジプトへ逃れようとするも…
スタッフの一人は家族と共に隣国エジプトへ逃れようとスーダン国内を北上し、エジプト国境までたどり着きました。しかし、パスポートを持っていない彼女はエジプトに入国することができませんでした。一時的に、パスポートが無くても代替書類で出入国ができる制度が適用されていたようですが、その制度も突如終了してしまったとのことです。
現在、パスポートが無くても代替書類で出入国ができる制度が、スーダン北東部のポートスーダンで再開されるとの情報を得てポートスーダンに滞在しています。ポートスーダンでは警察、軍隊が配備されており、他都市に比べると平穏が保たれています。午後11時以降の夜間外出禁止令が出ているものの、食料品や日用品を入手することは可能だと報告してくれました。
ロシナンテスの支援地は
ロシナンテスがこれまで活動を行ってきた、北コルドファン州、ガダーレフ州、ハルツーム州の村落部については、直接的な戦闘の被害は受けていない、と聞いています。しかし、ここしばらくは電気・インターネットの関係で連絡が取れておらず、最新情報がわかっておりません。直接的な被害がなくとも、街での出稼ぎによる収入が途絶える、物流の滞りなどにより日用品が手に入りづらくなるなど、間接的に影響の出ている地域も多いため、引き続き情報収集に努めていきたいと思います。
スーダン国内で引き続き支援活動をしている組織も
現時点で川原を含む日本人職員のスーダン帰任は叶っておりませんが、各国連機関は現地NGOなどと協力し、下記の通りスーダン国内及び周辺国で活動を実施していると公表しています。
- WFP(世界食糧計画):西ダルフール州、東ダルフール州を含む多くの州で緊急支援活動として食料や栄養補助品の配布を実施中。
- UNHCR (国連難民高等弁務官):ガダーレフ州内の国内避難民キャンプやポートスーダン、メダニを含む多くの地域で、テント、毛布、蚊帳、生活用品の配布や現金支援などを実施中。また、周辺国のチャド、中央アフリカ共和国内でスーダンからの避難民に対して支援活動を展開。
- UNICEF(国連児童基金):青ナイル州、白ナイル州を含む多くの地域で母子のための栄養補助や移動医療クリニック、はしかなどのワクチン予防接種を実施中。
ロシナンテスとしてスーダンでの活動再開のめどはたっていませんが、引き続きスタッフの安全を確保しつつ、情報収集を継続しながら周辺地域などでできることを模索しています。また進捗があれば、皆さまにご報告したいと思います。
引き続きスーダン情勢にご関心をお寄せいただけますと幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。