4月29日に帰国して２カ月余りを日本で過ごし、現在ザンビアへ来ております。

多くの応援の声に本当に励まされました

この度のスーダンからの帰国に際しては、外務省、自衛隊、JICAそれに国連と本当にお世話になりました。心より御礼を申し上げます。また皆様からの応援の声がひっきりなしに届いていて、どれだけ励まされたかわかりません。本当にありがとうございました。

我々日本人が帰国して終わりではありません。我々のスタッフや友人がたくさん現地に残り過酷な状況の中、生きて行っています。そのことを思えば、じっと静かにしていることはできず、日本にいてスーダンのためにできることを考え動いています。

遠回りでも、スーダンのためにできることを

スーダンの植物で伝承薬として使用されているものを学術的に研究し、創薬まで持っていく構想で熊本大学薬学部とハルツーム大学の共同研究を今まで推進していました。この共同研究に国から支援をもらおうとSATREPSというスキームに申請準備をしていましたが、内戦の状況になり申請が不可能となってしまいました。

しかし諦めたら、そこで終わりです。遠回りとなってもスーダンのためになることは出来ないのかと考え、熊本大学の先生たちと相談しました。熊本大学薬学部は、長崎大学と九州大学薬学部と今までに１７回にわたって毎年合宿を行い、連携を深めているとのことです。それぞれの大学に特徴があり、学問する刺激となっているようです。そこで、熊本大学が行ってきたスーダンとの共同研究の対象をアフリカに広げることとして、この三大学連携で取り組んだらどうかとの意見が出されました。

すぐに長崎大学、九州大学と連絡をとりました。長崎大学には熱帯医学研究所（熱研）がありますので、三大学の薬学部長それに熱研の金子聰教授（学長特別補佐）、北潔教授（熱研グローバル研究科長）にもご参加願い、長崎の地で会合を持ちました。その後もオンライン会議を重ねています。来週には熊本の地で三大学合同での合宿があるようでして、私もオンラインで講演をする予定になっています。

九州大学はエジプトのカイロに事務所を設置しています。この事務所にはターメルという九大薬学部で学位を取得した研究者がいます。彼ともオンライン会議を持ち、エジプトと九州の三大学との共同研究を行う方針です。いつかはエジプトとスーダンは隣国で歴史的にも深い関係にありますので、エジプトでの研究がスーダン大使公邸にも広がっていくように願います。まさに遠回りのスーダン支援の第一歩を踏み出した感じです。

ザンビアでも大学との連携を強化

一方、我々の活動地であるザンビアです。富士フイルムが開発した携帯型X線をいかに地域医療に用いるかを検討して行っています。従来であれば、結核の疑いがあってもレントゲン診断装置のある病院に満員のバスに揺られていくしか方法はありませんでしたが、こちらからレントゲン装置を持っていけるシステムを作り上げようと考えています。

また、九州大学医学部との連携を深めて行っています。九州大学医学部の中島直樹先生はデジタルヘルスの第一人者ですが、中島先生のチームがアジアで母子保健を展開しています。そのチームがついにザンビアに来てくれることになりました。先遣隊が7月に本隊が8月後半から9月にかけてのザンビア訪問です。我々が行ってきている母子保健をさらに強化できるように九州大学医学部の協力をお願いする次第です。

座骨神経痛で松葉杖生活になるも…

実は、帰国後に動き回っていて、ラグビーの影響で痛めていた腰が悪化し、強烈な坐骨神経痛になり歩行困難となりました。訪問先の熊本からJRで熊本駅、博多駅そして黒崎駅でそれぞれ駅員さんに車椅子を押してもらい、黒崎駅に駐車していた自家用車を妻が運転して、私の友人の村上秀孝先生が院長をしている田川の村上外科に直行しました。診断は脊柱管狭窄症、腰椎ヘルニアで8日間の入院を要しました。手術することなく、保存的療法でなんとか退院でき、退院後は松葉杖で動いていましたが、7月に入ってからようやく松葉杖なしで歩行できるようになりました。

7月9日に丸一日かけての長時間フライトを終えてザンビアにやってきました。村上先生はじめ病院のスタッフの皆様にはお世話になりました。本当にありがとうございました。我々の新しい事務所がエレベーターなしの４階なのには思わず笑ってしまいましたが。

ロシナンテスのスタッフや何と言っても妻には迷惑をかけました。やはり、私自身がいろんな方々に支えられていると改めて思いました。すべての方々に感謝の気持ちを持ち、またアフリカの地でも頑張って参ります。今回は、ザンビアそして九大カイロ事務所のあるエジプトに行きます。

ザンビアの地域医療のために頑張り、そしてスーダンの平和を心から願って精進していきます。今後ともロシナンテスをどうぞよろしくお願い申し上げます。