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ザンビア2023.03.24

日本でも!結核の終わらない脅威 #世界結核デー

こんにちは、インターンの林です。

本日3/24は世界結核デーです。この日は1882年3月24日に細菌学者であるロベルト・コッホ博士が結核菌の発見を発表したことにちなんで制定されています。結核というと、昔に流行した病気というイメージで、最近はあまり耳にすることがないように感じます。しかし、結核はなくなっておらず、世界では年間1060万人(2021)*1もの人々が新たに結核を患っています。また世界の中でもアフリカの結核の患者数は多くなっています。

このブログでは、そもそも結核について、そしてアフリカ、特にザンビアの結核の状況についてご紹介します。

結核ってどんな病気?

結核は感染症の一つで、「結核菌」という細菌が体内に入り込むことによって感染します。例え感染したとしても、体が健康な状態であれば菌の活動は抑えられます。しかし、特に体内の免疫力が弱まると、菌が増えて発病します。咳や痰などから症状が出始め、重症化すれば命にも関わる病気ですが、現在では、適切な治療を受けることができれば完治できるとされています。

結核は、19世紀頃の産業革命による経済成長に伴って世界的に流行し始め、日本でも明治から昭和にかけて感染者が増加していきました。昭和20年代まで結核は日本人の死因の第1位であり、「不治の病」「亡国の病」などとも呼ばれ恐れられる病気でした。1950年には結核による死亡者が約12万人*2 となるなど、猛威をふるっていました。その後は、治療薬の普及により死亡者数が減少していきましたが、2021年でもなお、日本では年間およそ1万2000人*2が新たに感染し、約1800人が亡くなるなど、完全に根絶はできていないのが現状です。日本は人口10万人あたりの結核感染者が9.2*2となっていますが、実はこの数値は先進諸国の中でも高くなっています(アメリカの同数値は2.4で、日本の約4分の1)。

結核が深刻な国、ザンビア

世界で結核の感染者数は1060万人でしたが、地域別に見ると、アフリカは南東アジアに続き2番目に結核の患者数が多い地域となっています。その中でもザンビアは深刻です。世界保健機関(WHO)によれば、ザンビアでの10万人当たりの結核の感染者は307人となっています(2021)。感染者数は減少傾向にあるものの、アフリカの地域全体の平均212人*3と比べると、非常に高い感染者数となっています。アフリカでは、HIVによる結核の日和見感染も一つの課題となっていますが、ザンビアではHIVの患者数が130万人*4と言われ、世界の中でも患者数が多い国です。そのためHIVと結核の重複感染も問題なっています。

移動型レントゲンで結核の発見・治療を促進

結核の感染拡大を防ぐためには、結核の早期発見が重要になってきます。しかし、ザンビアでは現状、検査を行うための施設は限られているため、患者のアクセスが難しく、適切な治療になかなか繋がっていません。そのような課題に対し、ロシナンテスでは富士フイルム株式会社様の協力のもと、2023年3月より移動型レントゲン機器の試験的導入を始めました。これまでは、結核の診断の一環であるX線の検査を行うために、患者は設備のある病院へと行く必要がありましたが、今回の導入によって患者近くの医療施設でも検査が行われるようになります。検査へのアクセスが向上することにより、これまで見過ごされてきた結核患者のさらなる発見・治療が期待されます。

参考
•結核について(公益財団法人結核予防会)
https://www.jatahq.org/about_tb/

*1 https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/tuberculosis

*2 https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000981709.pdf

*3 https://www.who.int/teams/global-tuberculosis-programme/tb-reports/global-tuberculosis-report-2022/tb-disease-burden/2-1-tb-incidence

*4 https://www.cdc.gov/globalhivtb/where-we-work/Zambia.pdf