特定非営利活動法人ロシナンテス

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スーダン2007.06.08

過去のブログより。2005年12月

首都ハルツームから地方へと幹線道路を進む。
全体的に舗装はされているものの、
ところどころでアスファルトはめくれ、
そこには大きく深い穴が開いている。
何かの原因で少しでもアスファルトの表層がはがれると、
次々に通過する車がさらにそれを広げていく。
いつしか穴の直径は1メートル、2メートルとなり、
内側の土は外に巻き上げられる。
化膿する傷口のように悲惨さは増し、
後にはそんな穴が残るのだ。
スーダンという広大な平地を最短距離で結ぶ直線の道。
上下1車線ずつの窮屈な道を追い越しあいながら
全ての車が高速で走り続ける。
トラックの荷台には穀物や鉄くずなど、
生活のために欲張って積んだ物資が溢れている。
ある時その厄介な窪みに不注意なドライバーが突っ込む。
積みすぎた荷物は容易に車のバランスを失わせる。
そしてトラックは簡単に横転してしまう。
その道を通るたび、新しく壊れた数台を僕らは見る。
いくつの笑いが消えてしまったのだろう。
だからドライバーは高速で走りながらも、
ときおり現れる穴に対して常に注意を払い続けねばならないのだ。
さて、いくつかのそういった穴の隣にはシャベルを抱えた子どもがいる。
そこへやってくる車が目に映ると、彼は仕事の準備を始める。
やがて車は100メートルに近づく。
彼と車との距離はすぐに50メートルになる。
そのときシャベルを大げさに振りかぶって彼は穴の上に砂をまく。
何かを大声で叫んでいる。
こういうことだ。
「穴を埋めてあげたからお金を頂戴」
正直彼らの行為は何も改善をもたらしていない。
穴の数はそれこそ無数であるし、
どれもシャベル一杯の砂で埋まるような穴ではない。
そして撒かれた砂はすぐにまた風と車に吹き飛ばされるのだ。
それでも小遣い程度の収入はあるようで、
いつも彼らはそこにいる。
シャベルをかついで何キロも歩いてきたのだろう。
どこにも家などは見当たらない。
彼の周りには乾燥に強い低木のみが僅かに点在し、
次の雨季を我慢強く待っている。
スーダン。
日本の7倍の国土に舗装路は5000?。
一方、日本は865000?。
荒井繁