常識
私がスーダンにいるときに、京都大学の院生である丸ちゃんから
「この本面白いから、読んでくださいよ!」
と言われました。
渡辺京二さんの「逝きし世の面影」
少し厚い本ですが、一気に読んでしまいました。
幕末に日本を訪れた外国人の目をとしての、当時の幕末から明治初期の日本の一般人の暮らしぶりを
紹介したものです。
「貧しいけれども、幸せそうに暮らす人々」
「人と自然との調和」
それらの状況が、異人さんたちが語っているのです。
この状況は、私が異人の存在である現在のスーダンの立場と同じことです。
私も、彼らと同様の思いをしています。
「なあーんにも、ないけど、何かがある」
その何かを日本に伝えたくて、現在日本で講演会を行っているのです。
著者の渡辺京二先生は、河合塾福岡校で長年教鞭をとられていた方です。
そして、熊本在住なのです。
偶然にも、熊本大学で講演が組まれており、外科の教授の馬場先生に
スーダンから、またしても厚かましく
「渡辺京二さんにお会いしたいのです。何とかお願いします」
との、不躾なメールを送らせていただきました。
そして、馬場先生が渡辺先生との会談をセットしてくださいました。
閑静な熊本の住宅街にある住所のみを頼りに、
馬場先生と私は、番地を一つ一つチェックしながら、渡辺先生の家を探していきます。
ずいぶんとアナログな方法ですが、これはこれで面白いものです。
少し分かりにくかったですが、渡辺先生のご自宅を見つけ、お邪魔いたしました。
最初にお会いした際には、
「こいつは、何だ」
というような感じもありましたが、話が進むにつれて、笑顔でいろんなことを語ってくれましたし
こちらに多種多様な質問をされました。
その中で、普通の方がスーダン、アフリカに関する知識より、
はるかに幅広いものをお持ちであり、逆に私のほうが驚いたしだいです。
「なぜ、そんなことまでご存知なのですか?」
「常識です」
これには、まいりました。
渡辺先生は、昭和5年生まれです。
この年代の方々にとっての常識は、我々世代の常識をはるかに超えて大海のように広がっています。
以前、同年代の高校ラグビーの先輩(北九州市役所にご勤務されていました)のご自宅に挨拶に伺った際に
その蔵書の素晴らしさに驚いたことがあります。
これなども、先輩の常識だったのでしょう。
いわゆる教養を身につけていた昭和一桁の方々。
ほんとに尊敬に値します。
まだ、私も遅くありません。
若い人達に
「それは常識です」
と、さりげなく言えるように、教養を身につけて行きたいです。
最後に馬場先生、医局長の堀尾先生本当にありがとうございました。
川原尚行
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