特定非営利活動法人ロシナンテス

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スーダン2022.03.03

新型コロナがアフリカにもたらした影響とは?SDGs1の達成状況から見る、スーダン・ザンビアの現状

私たちロシナンテスは、途上国に「医」を届けるべく活動するNGOです。現在取り組んでいる事業は、持続可能な開発目標(SDGs)の中では、主に目標4つ(SDG1、SDG3、SDG4、SDG6)に関わっています。

新型コロナの蔓延によりロシナンテスも一時現地の事業を休止・縮小せざるを得なかった時期がありましたが、世界的にも大きな影響があったことは間違いありません。今回はこの4つの目標に関して、進捗がどうなっているのか、調べてみたいと思います。

そもそもSDGsとは?

SDGsとは,2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として,2015年9月の国連サミットで加盟国の全会一致で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された,2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。17のゴール・169のターゲットから構成され,地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。

SDG1: あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる

SDG1は、「あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる」のテーマのもとに7個のターゲットで構成されています。

ターゲット

  • 1.1 2030年までに、現在1日1.25ドル未満で生活する人々と定義されている極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる。
  • 1.2 2030年までに、各国定義によるあらゆる次元の貧困状態にある、すべての年齢の男性、女性、子どもの割合を半減させる。
  • 1.3 各国において最低限の基準を含む適切な社会保護制度および対策を実施し、2030年までに貧困層および脆弱層に対し十分な保護を達成する。
  • 1.4 2030年までに、貧困層および脆弱層をはじめ、すべての男性および女性の経済的資源に対する同等の権利、ならびに基本的サービス、オーナーシップ、および土地その他の財産、相続財産、天然資源、適切な新規術、およびマイクロファイナンスを含む金融サービスへの管理を確保する。
  • 1.5 2030年までに、貧困層や脆弱な立場にある人々のレジリエンスを構築し、気候変動に関連する極端な気象現象やその他の経済、社会、環境的打撃や災害に対するリスク度合いや脆弱性を軽減する。
  • 1.a あらゆる次元での貧困撲滅のための計画や政策を実施するべく、後発開発途上国をはじめとする開発途上国に対して適切かつ予測可能な手段を講じるため、開発協力の強化などを通じて、さまざまな供給源からの多大な資源の動員を確保する。
  • 1.b各国、地域、および国際レベルで、貧困層やジェンダーに配慮した開発戦略に基づいた適正な政策的枠組みを設置し、貧困撲滅のための行動への投資拡大を支援する。

世界の貧困率は1990年の36%から2015年には10%に減っています。大きな成果ですが、実際には貧困に苦しんでいる人たちが世界中に7億3600万人いるということでもあります。南アジアとサハラ以南アフリカの国々がこのうちの70%。その他の50%を中国、インド、インドネシア、ナイジェリアが占めていました。

新型コロナ前、コロナ後での進捗

パンデミックが発生する前、世界はSDG1(貧困をなくそう)とSDGs9(産業と技術革新の基盤をつくろう)で大きく前進していました。全体として、2018年までに、極度の貧困状態にある人々の割合は、2015年にSDGsが採択されて以来、世界的に1.4ポイント減少し、10%から8.6%になっていました。歴史的な傾向に基づけば、極貧は2030年には6%まで減少すると予測されていました。

しかし、新型コロナによって、SDG1の進捗は逆戻りしてしまいました。数年間の大幅な削減の後、2020年にはサハラ以南のアフリカやその他の地域で極度の貧困が増加しました。新型コロナのパンデミックが始まって以降、約1年間で推定1億2,000万人が極貧状態(1日1.90ドル以下で生活すると定義)に追い込まれ、そのほとんどが低・中所得国であるとされています。また、パンデミックは食料へのアクセスにも影響を与え、SDG2(飢餓をゼロに)の対象となる食料不安を増大させました。一方、経済活動の減速と世界的な景気後退により、2020年には失業率が大幅に上昇し、SDG8(働きがいも経済成長も)に影響を与えたことがレポートされています。

スーダン・ザンビアの進捗は?

スーダンのSDGsの達成率は165か国中157位と非常に低いランキングに位置しており、SDG1に関しては2021年時点で1日1.90ドル未満で生活する人々は全体の21.9%となっています。

2019年時点では全体の15.5% だったことを考えると、5%以上悪化していることがわかります。2018年に起こった政変の影響なども受けての経済悪化が著しいため、新型コロナのみが要因ではないと思われますが、大きな影響を受けていることは市民の生活を見ていても明らかです。

https://dashboards.sdgindex.org/profiles/sudan

ザンビアも、SDGsの達成率は2021年時点で165か国中141位と、スーダンよりは高いものの低いランキングに位置しています。SDG1に関しては1日1.90ドル未満で生活する人々は全体の59.1%と高く、また、1日3.20ドル未満で生活する人々は77.0%にも上昇するため、厳しいチャレンジが続いていくとされています。

2019年時点では、人口における1日1.90ドル未満で生活する人々は全体の54.8%でした。こちらももちろん他の要因も影響しているとは思いますが、新型コロナ以降大きく悪化している指標の1つと言えます。

https://dashboards.sdgindex.org/profiles/zambia

参照:

・The Sustainable Development Goals Report 2019(United Nations) https://unstats.un.org/sdgs/report/2019/goal-01/

・Shocks and vulnerability to poverty in middle-income countries(The World Bank) https://blogs.worldbank.org/developmenttalk/shocks-and-vulnerability-poverty-middle-income-countries

・The State of Security and Nutrition in the World 2021(FAO) https://www.fao.org/publications/sofi/2021/en/

・Sustainable Development Report 2021(Cambridge University Press & Assessment) https://dashboards.sdgindex.org/chapters/part-2-the-sdg-index-and-dashboards#sdg-1-no-povert