NGOと行政
診療所のあるハサバラ村の女子学校建設が着実に進んでいます。
もう、工事の半分以上は進んでいます。
昨日は、教育大臣と大臣室でお会いし、それから現場の視察と相成りました。
大臣が向かうからには、次官、それに初等教育局長その他諸々に人たちが同行となりました。
途中、ショワックによって、ここのトップ(日本では市長にあたるのでしょうか)に会い、
彼も連れて行きます。
この行政区分が、いつも面倒で、ガダーレフ州と直接やり取りをしますが、
本来であるならば、ガダーレフ州エルファシャガ市の市と交渉をしないといけないのです。
ただ、市ともなると、ほとんど機能していないのが現状で、
いくら、こちらが話を持ちかけても、先に進まないことがあります。
それで、直接その上部である州政府を相手に事をすすめ、事後承諾で市に話を持っていきます。
当然、市は怒ります。だって、通常の流れではないのですから。
昨日も、市長に嫌味を言われながらも、「ごめんなさい」
を繰り返して、お連れしました。
時には、愛嬌も使います。
しかし、何といっても教育大臣(州レベルですが)は、立派でした。
村人を集めて、女子教育の充実を訴え、この学校ができたら、きちんと女の子を通わせるように指示したり、
学校の時間外でも、大人のための教育施設として使用することを提案したり、
教育省も、今の施設に加えて子供たちの発表のための舞台の建設や、将来を見越して電気を通すように一部手直ししたり
制服を調達しようとか、教育省が現在出来ることを約束してくれました。
最後に、ここをモデル地区にしようと言ってくれました。
スーダンのほかの村が模倣したくなるような村にしよう!
NGOは単独で活動しても効果のほどは知れています。
それに地方行政がいかに協力してくれるかで、この程度が変わってきます。
もちろん、行政が行うべき仕事ですが、それはまだ植民地後の真の体制を作りきれていないアフリカの現状(決してスーダンだけではありません)があります。
診療に関する保健省との協力、学校建設に関して教育省との協力、水事業に関しての水公社との協力。
これらが必要です。
ただ、今までに何度も「リップサービス」だけのケースを見てきただけに、
今度の教育大臣の発言通りに学校建設の拡充が進めば、素晴らしいことです。
教育というのは本当に根幹部分です。
そして、すぐには成果は出てきませんが、数十年後にきっと成果が出てくるでしょう。
そこまでを見つめて、ここがモデル地区になってくれればと思います。
こんなことをしていると、日本は本当に素晴らしいシステムをもった国だなあ、と感じます。
小さなほころびで、マスコミをはじめ文句を言いますが、私は大局的に見て、素晴らしい組織だと思います。
私が心配しているのは、今の素晴らしいシステムを小さなほころびが駄目であると言って、
大きく変革していくことです。アフリカに身を置くと、そんな風に見えてきます。
詳しいことは、また別の機会にでも。
川原尚行