止まない雨はない
我がロシナンテスのスタッフにハフィーダという女性がいます。
スーダンを訪問して御存じの方もいらっしゃるでしょうが、なかなかチャーミングです。
彼女は、物を片付けるのが苦手でよく物を失くします(私が言えた義理ではないのですが)が、
彼女の交渉術はたいしたものです。
私がいくら交渉してもだめな相手に、
「私に任せておいて」
と言って、私をそばにおいて
難航する話をまとめあげていきます。
そして、最後に交渉した相手に
「ドクター川原にあやまりやさい」
とまで諭して、私に握手をさせます。
話術もさすがですが、彼女の中から何かが湧き出ているのでしょう。
相手はそれにまるめこめられるようです。
さて、彼女は昨年の春の初めは、恋人を交通事故で亡くしてしまい、
涙にくれて、ベッドに塞ぎこむ日々でした。
私はなすすべもなく、彼女のそばにいたりいなかったり、おろおろとしていました。
しばらく経って、仕事にも出てくるようになり、徐々に彼女の本領を発揮し始めました。
うまく、彼女の中で恋人の死を昇華していったのでしょう。
そして、昨日私に向かって
「私は今4人の男性に言い寄られているの」
と、きました。
中には、私が見ても、かっこいいと思う男性もいます。
彼女は、ちょっと丸い体型です。いや、ちょっとではなくて相当かな。
体重は、私より重いはず。
アフリカでは、そんな女性がもてるのです・
たぶん、彼女の内面から醸し出されるものに、スーダンの男性陣は
メロメロとなっているのでしょう。
現在、悲しみに暮れている方、そして何をやってもうまくいかずに人生が面白くないと思っていらっしゃる方
止まない雨はないのです。
土砂降りになったら、どこかで静かに雨宿りしたらよいですね。
いつか、いつか雨があがり、晴れ間がみえるでしょう。
今、晴れ間が広がっているハフィーダを見ていると、そう思います。
人生において、悲しみもあれば喜びもあります。
悲しみが深ければ、喜びもそれだけ大きなもののようです。
昨日、ハフィーダは私の机の上に彼女の飲みかけのジュースを置きっぱなしにして帰っていきました。
私は苦笑いをしながら
「ハフィーダの奴!」
と言いながら、その飲みかけのジュースを片付けます。
きっと、私に関しても、私が気がつかないところで、私のやりっぱなしにしたことを誰かが
「川原のやつ、だらしないなあ」
ということで、片付けてくれていることでしょう。
人生には、悲しみ、喜びがあり、
そして助け、助けられですね。
川原尚行