特定非営利活動法人ロシナンテス

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スーダン2007.06.02

過去のブログより。2005年11月

学生時代の最後の1年間を寮で過ごした。
建物は古く小汚い。
3畳程度の部屋は机と本棚とベッドだけでいっぱいだった。
ドアの下から隙間風が吹いて、冬は暖房もなかなか効かない。
その寮は留学生寮だった。
僕はチューターとしてそこに住んでいた。
連日のように酒を飲み、各国の料理をつまみ、しょうも無い事で笑いあった。
会話のほとんどは忘れてしまったけれど、それは輝く時間だった。
寮生の出身国は20カ国ぐらいはあっただろうか。
遠くの国で育ってきた者同士が、こうして出会えた。
その中にスーダンへの興味を僕に植え付けた学生がいた。
褐色の肌の無口な男。
「この人はなんなんだろう?」
僕はそう思っていた。
ある日、寮の近くのコンビニまで行くときに彼に出会った。
話しかけにくいオーラを放っているがが、話をしないのも気まずいので
「どこに行くの?」
と話し掛けた。
彼もコンビニに行くところだった。
コンビニで彼が買ったのは明治の板チョコだ。
それを僕の手に押し込んでこう言った。
「これから1週間出かけるから、そのあいだ植物に水をあげておいてくれ」
やっぱり変だ。
今僕はここにいるわけだが、彼と会っていなければ違う所にいただろう。
かつては訝しく思った相手が、今じゃ「ブラザー」と呼び合う。
縁の素晴らしさ。
そんな彼が先日スーダンに戻ってきた。
お互いともに日本で学業を修め、再会したのは彼の国だった。
荒井繁