特定非営利活動法人ロシナンテス

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ザンビア2021.10.25

安心・安全な出産のための「マザーシェルター」完成、妊婦さんの入居開始

みなさま、こんにちは!ザンビア駐在員の田中悠太です。

ザンビアは短い冬を終えて、一年の中でも最も暑い季節となっています。とはいえ、首都ルサカの日中の最高気温は35度程度で「スーダンに比べると、断然涼しい!」とスーダン駐在員に怒られてしまいます。

 

さて、ザンビアから嬉しい報告がございます。

兼ねてより皆様に工事の進捗状況を報告して参りました、中央州チサンバ郡ムワプラ地域の マザーシェルター がついに完成しました!

 

10月12日には、在ザンビア日本大使館の水内大使、中央州大臣、チサンバ郡チーフを招き、オープニングセレモニーを行いました。

今回は来賓がお越しになるということで、地域の子どもたちからの歌や踊りの発表、地域のヘルスボランティアによる、「マザーシェルターを利用した安全な出産」をテーマにした寸劇のパフォーマンスがありました。

 

ザンビアでは現在、医療施設での出産が義務化されており、この地域に住む妊婦さん達は、ムワプラ診療所で出産することが想定されています。しかし村の人々の移動手段が主に徒歩であることもあり、多くの妊婦さん達は陣痛が始まってから診療所に向かっても、出産に間に合いません。

陣痛が起こる10日程前からマザーシェルターにやって来て宿泊することで、確実に診療所で出産することができるようになります。

診療所で出産することができれば、万が一の際にも、適切な処置を受けられる可能性が高まり、感染症や出血多量など、出産時の危険を減らすことができます。

このマザーシェルターは、事業の検討開始時は宿泊施設のみを想定しておりましたが、郡保健局からの要望やムワプラ診療所で出産を経験したお母さんたちの声から、分娩室を併設しています。元の分娩室は、外来患者さんがいるすぐ隣の部屋だったため、妊産婦プライバシーへの配慮がなかったためです。

また、出産日を待っている妊産婦の付き添いで来ている家族が宿泊できる部屋も整備されています。その他にも、温かいお湯の出るシャワーや、シャワーを浴びているときに座ることができるベンチをシャワー室に設置しています。

出産に関して、「安全」だけではなく、お母さんたちに「安心」して出産日を迎えてほしいという思いから、このような設計と細かな配慮に至りました。

 

建物の外には別の屋根付きの多目的スペースを設置し、料理をしたり、面会に来た家族と話をしたりすることができます。また、今後ロシナンテスと地域住民との打ち合わせ等もそこで行うことができます。

また、住民からの要望で、芝生のある庭も設置されました。この庭の設置は、搬入する土や芝生等、すべて地域住民からの持ち込みで作られました。現在は乾季のため、まだ十分に芝が育っていませんが、もうすぐ雨季が始まり完成する見込みです。

建設開始前には、地域住民によって建設に使用する砂の持ち込みがあり、工事期間中には地域住民を雇用する等、まさに地域と一体となってマザーシェルターの完成に至りました。

すでにベッドや必要な資機材は搬入されており、オープニングの翌日から出産を控えた妊婦さんが入所しました。

今後は、どのようにしてこのマザーシェルターを維持管理し、施設を長続きさせてていくかということが鍵になります。引き続き、地域のボランティアや診療所職員と共に、想定される課題などを協議し、ルールや管理方法を確立させていきます。

2019年のロシナンテスザンビア発足以降、マザーシェルターの建設準備を重ねてまいりました。新型コロナの影響で事業が中断する等、駐在員、現地スタッフ、そして地域住民、それぞれに大変な時期もありましたが、ようやくここまで来ることができました。

ご支援いただいております皆様に改めてお礼申し上げます。

最後に、この地域を支えてくれているボランティアグループSMAGの皆さんが、セレモニー当日にお祝いの歌を披露してくださった時の様子をご紹介します。