最新のスーダンの経済状況…GDP・GNIの落ち込み

こんにちは！インターンの東田です。

本日は、ロシナンテスの活動地である、アフリカ・スーダンに関する最新の報告を共有させて頂きたいと思います。

深刻な景気の悪化

現在のスーダンの経済状況は非常に深刻であり、2019年4月11日にスーダンのバシール大統領が失脚し、2019年8月17日の暫定政府が発足されて以降も、経済成長率は依然低迷しています。

主な原因の一つとしては、2020年初めに世界中に蔓延した新型コロナウイルス感染症があります。新型コロナウィルス影響により、スーダンでは食料価格の高騰やインフレおよび雇用の喪失が発生し、現地の人々の生活に甚大な影響を与えました。

事実、2020年8月のインフレ率は、2019年8月に比べて214％上昇し、食料品や農業品などの価格が大幅に高騰しました。また、スーダン総人口の16％に相当する、推定710万人は深刻な食糧不安に直面すると予想されており、今後、生計や自分の命を守るための緊急の行動を必要とする人々が増加していくと考えられています。(*1)

景気悪化による失業率の増加も懸念されており、世界銀行によると、スーダンは2020年時点で17.71％を記録しています。(*2) これはスーダンの人口約4280万人の内、およそ727万人、すなわち6人に1人の人が失業しているということになります。日本の失業率である2.9％と比べてみても、スーダンでの失業率がきわめて高いことがわかります。(*3)

スーダンの経済状況

また、理事長の川原が外務省の医務官としてスーダンに赴任した2002年の時点では、GDPは140億ドル、一人当たりのGNIは380ドルであったものの、2014年にはGDPは666億ドル、一人当たりのGNIは1550ドルにまで増加し、スーダン経済は一時期大幅に成長しました。

しかし、2019年ではGDP330億ドル、一人当たりのGNIは590ドルにまで落ち込んでしまい、5年間で約3分の1にまで減少してしまいました。(*4)

例をあげると、GNIが1530ドルのパキスタンから、580ドルのリベリアや600ドルのニジェールなどの国々の生活水準にまで下がることと同じです。(*5)水道や電気が比較的不自由なく使えた暮らしから、衛生的な水が手に入りにくく、停電が繰り返し起きるような生活環境に陥ることを意味しています。実際スーダンでは、停電と断水の頻度はどんどん高まっています。