イスラム教の大切なイード(祭り)と新型コロナ
2020年7月31日から8月3日は、イスラム教のイード・アルアドハー(犠牲祭)でした。
イード(祭り)は、宗教的にも、イスラム教徒の人と人の繋がりとしてもとても大切にされています。
イード・アルアドハーとは?
イード・アルアドハーは、唯一神アッラーに家畜を捧げるという意味を持ちます。イスラム教はヒジュラ暦という陰暦をもとにしていますが、このヒジュラ暦 第12月の8日から12日にかけて大巡礼が、ビジュラ歴 第12月の10〜13日はイード・アルアドハーが行われます。
ヒジュラ暦 第12月の10日は、巡礼者がアッラーに動物を犠牲に捧げる日であり、世界中のイスラム教徒は、それに合わせて各家庭で動物を屠り(屠殺)ます。イスラム世界ではイード・アルアドハーが近づくと、売られる羊たちが街にひしめき合うようになります。
イード・アルアドハーで屠った動物は、家族や親族、友人はもちろん、恵まれない人とも分け合います。みなでともに食事をとり、互いに訪問しあい、お祭りを祝います。
しかし例年通りイード・アルアドハーを行うと、新型コロナウイルス感染拡大のリスクがどうしてもついてまわります。そのためスーダンでは、イード・アルアドハー前に保健省から新型コロナの予防が呼びかけられていました。使われた資料をご紹介したいと思います。
イードでの感染拡大を防ぐ
家で過ごすイード、おめでとうございます。
親戚や友人には、電話で挨拶をしましょう。
動物を屠る際は、家族のうち誰か1人だけが作業を行うようにし、作業中は他の家族との接触を避け、終了後には十分手洗いをしましょう。
イード・アルアドハーは祈りと慈善の時間です。
恵まれない人にも食事を振る舞いましょう。
新型コロナは、人から人に感染が広がる疾患です。
・1メートル以上離れましょう
・距離が取れない場合は、マスクを着用しましょう
・こまめに手洗いをしましょう
・握手を避けましょう
・咳やくしゃみをする時はエチケットを守りましょう
イード・アルアドハーの礼拝時、各モスクは以下の注意事項を守りましょう。
・石鹸、水、消毒液を準備しましょう
・礼拝用の敷物は、各自専用のものを準備してもらいましょう
・1メートル以上離れましょう
・新型コロナの予防策を掲示しましょう
・頻繁に触れるものを定期的に清掃しましょう
リスクが高い以下の方は集団礼拝に参加しないようにしましょう。
・倦怠感がある、もしくは新型コロナを疑う症状がある
・60歳以上
・糖尿病、心疾患、慢性肺疾患、慢性腎臓病、がんなどの既往がある
例年通りのイード・アルアドハーを行うと、多数の人との接触や密集、大皿での食事の共有など、様々なリスクが生じるため、保健省から啓発活動が行われていました。イスラム世界では宗教と生活は切っても切れない関係であるため、信仰も新しい形が模索されているのかもしれません。