ハフィール事業を1年後に延期
ハフィール事業延期のご報告
世界的な新型コロナウイルスの感染は、ロシナンテスの事業地であるスーダンにも広がっています。この影響を受け、スーダン事務所では、昨年より準備していました水事業の実施を延期いたしました。
背景としては、ロシナンテススタッフによる都市部から地方への移動は、感染拡大のリスクとなり得るため、事業地へ訪問は当面自粛すべきだ判断したことが大きいです。また、政府による外出制限措置やハルツーム州のロックダウンにより、HAC(政府のNGO管轄組織)や関連省庁の業務が停滞し、契約書の締結などが遅延したことも影響しています。
今回のハフィール事業は、工期が4月-5月初旬(ハフィールの水はけ~次の雨季前)に限定される短期集中型の事業のため、多少の遅れが実施の可否につながってしまいます。3月の時点ですでにスーダン国内での移動が制限されていたこともあり、数か月単位の延期ではなく、来年度まで延期せざるを得なくなりました。
一日も早く状況が落ち着くことを願いつつ、来年度に向けた下準備を粛々と進めて参ります。
ハフィール事業について
- ハフィールとは
河川のような表層水や、井戸などの地下水がない地域においては、ハフィールと呼ばれる雨水貯水用池が利用されています。雨季の6月~9月(地域や年にも寄りますが)に降る貴重な雨水を貯水し、残りの乾季に飲料水、生活用水として活用する仕組みです。
- 事業地
今回、ロシナンテスがハフィール事業を行うのは、ハルツーム州シャルガニール地域ワッドアブサーレ区ワッド・シュウェイン村です。ワッドアブサーレ区には、ロシナンテスが2016年~2018年に建設した3つの診療所があります。
いずれも、建設後の診療所は保健省に引き渡し、住民を中心に運営を開始したのですが、ワッド・シュウェイン村の診療所の運営にはいくつかの課題があります。この課題の一つが「水」の安定供給でした。
- 事業の背景
この地域の水源を調べたところ、診療所付近にあるハフィールが主に利用されていました。住民によると、ハフィールの水は自宅に持ち帰った後、煮沸など水処理を行わずにそのまま飲み、結果的に慢性的な下痢など、水起因の病気が多く発生している状況とのことでした。また、水量自体が十分ではなく、毎年3月頃になるとハフィールの水が干上がり、周辺の村の給水車から水を購入せざるを得ないそうです。経済的な負担から、飲み水や生活用水を十分に確保できずに困っているという声も耳にしました。
これらの状況を踏まえ、ロシナンテスは、人々の健康を守るためのハフィール改修事業に取り組むことを決めました。ワッド・シュウェイン村には表層水や地下水がないため、既存のハフィールの改修を行うことで、水の安全性向上と水量確保を実現させる予定です。加えて、地域の人々にハフィールの運営やメンテナンスのトレーニング、家庭での水処理に関する健康教育を行い、人々の健康への意識向上にも貢献していきたいと思います。本事業により、安全な水が診療所でも利用できるようになり、ひいては診療所の運営を軌道に乗せることを目指します。