特定非営利活動法人ロシナンテス

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スーダン2020.04.23

スーダンの政変から1年、日本人カメラマンによる写真が大賞に

4月16日にオランダで開催された世界報道写真コンテストで、日本人カメラマンの千葉康由さんが撮影したスーダンの民主化運動が大賞に選ばれました。

「世界報道写真展」は、1955年にオランダのアムステルダムで世界報道写真財団が発足したことにより、翌年から始まったドキュメンタリー、報道写真の展覧会です。毎年、主に前年に撮影された写真を対象に「世界報道写真コンテスト」が開かれ、国際審査員団によって選ばれた入賞作品が「世界報道写真展」の作品として、世界中約120会場で展示されます。年間を通じて、総計約500万人が会場に足を運ぶ世界最大級の写真展と言われています。

ロシナンテスが設立当初から活動をしているスーダンでは、昨年4月に大きな政変がありました。民衆蜂起をきっかけに、30年にわたる独裁体制を築いたオマル・バシール前大統領が、失脚したのです。

政治・経済が不安定で、生活そのものが困難な状況下において、非暴力に徹しながらも民主化を勝ち取ったスーダンの人々の強さが、この1枚の写真に表れているように感じます。

 

歴史的な政変から1年

2019年4月6日、バシール前大統領失脚につながった国民一斉大規模デモの勢いが絶頂に達しました。(過去に遡ると、1985年の4月6日は、軍部がクーデターによってヌメイリ大統領を失脚させた歴史があります。)その翌週の2019年4月11日に、バシール前大統領が失脚しました。いずれの日もスーダン人にとって非常に大きな意味を持ちます。

1年後の今年4月には、革命による政権交代を記念した祝賀イベントが計画されていました。しかし新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で中止となり、多くの人が外出を自粛する状況となりました。背景には、昨年のデモの指揮を執っていたSPA(Sudanese Professionals Association:大学教員、ジャーナリスト、弁護士、医師らによって構成されたスーダン人の知識層グループ)が、SNS上で’Stay home(家で過ごそう)’を呼びかけていたこともあるようです。

普段は人が行きかう通りも閑散としています

夜は外出禁止令が出されています

その代わりスーダンのテレビ番組では、昨年のデモで活躍した人たちへのインタビューなどが多く取り上げられていました。また、昨年連日行われていたデモの写真や動画を友人たちとSNS上でシェアし合うことで、1年前のできごとを振り返っていた人も多かったです。

ちなみに、現在の暫定政権に対するスーダンの人々の反応は2つに分かれているように感じられます。

評価する人々は、自国が自由と正義を取り戻すことができ、そして米国をはじめとする海外諸国との関係改善が強く期待できると考えています。一方、評価しない人々は、燃料不足や物価の高騰など、経済の改善が全く見られない点に対する不安と不満を持ち続けています。このような不満から、現在でも時々、小規模の抗議活動などが行われているのを目にします。

30年間の独裁政権に終止符が打たれ、これから民主化への道を辿ろうとしているスーダン。政治や経済の安定は一朝一夕に作り上げられるものではありませんが、スーダンの人々が、安心して生きられるような社会が実現されていくことを願うばかりです。