スーダンの無医村に診療所を建設し、7,000人に医療を届けたい!
広い地域に村が点在する村落部では、医療を届けるにあたっては巡回診療が最も現実的な手法です。しかしロシナンテスは、巡回診療を実施してきた地域で、診療所を建設することを決めました。
なぜ医療施設を作る必要があったのか
巡回診療中、私たちはある村で8才の男の子に出会いました。診察の結果、肺炎の疑いが高いことが分かったため、すぐに近隣の医療施設に入るよう勧め、私たちは次の村へと移動しました。
1ヶ月後に再びその村を訪れた際、あの男の子はどうなったかと村人に尋ねたのですが、返ってきたのは残酷な知らせでした。既に亡くなったというのです。忠告に従って医療施設に行くつもりではいたが、移動にかかる費用を捻出できなかったため諦め、ただ時間が過ぎるのを待っていたそうなのです。
私たちは巡回診療の限界を目の当たりにしました。
肺炎は発見できていたのです。 治療すれば救えたはずの命なのです。 しかしその少年と家族にとって医療施設は、「近隣」には存在しなかった。私たちは、自分たちが如何に過酷な移動を続けても、決して「距離の壁」を乗り越えられていないことを痛感しました。
そこで改めて思い至りました。
「近く」に。
少なくとも村人の移動手段であるロバで行ける範囲内に、医療施設を作る必要があるのだと。
診療所建設という目標を掲げたのは、それがいま当地において切実に求められているものだったからです。常に医療が行える拠点として診療所を設けることができれば、この状況を飛躍的に改善することができる!という思いで、2015年、「土とレンガの診療所プロジェクト」を立ち上げました。診療所3棟分の3,000万円を目標金額(このうち1,500万円はクラウドファンディングでご支援いただきました)とし、資金調達を行いました。
この結果、アルセレリア、アルハムダ、ワッド・シュウェインの3つの村に診療所を建設することができました。
診療所の役目
風邪や熱などの病気に対して、「とりあえずあそこに行けばいい」と思えることが住民の安心に繋がります。これは日本でも同じですが、現地特有の事情としてマラリアなどの熱帯特有の感染症の診断が重要になるという点が挙げられます。こういった感染症はすぐに抗生物質を使う必要があるため、素早く診断できるよう、顕微鏡を備えた検査室が必要です。体調になにか変化があれば相談に行ける場所があることで、住民の安心と感染症の早期発見という役割を果たすことができるのです。
また、スーダンではお母さんが一生のうちに何人もの子どもを生むのが一般的です。 村にいる妊婦さんとたくさんの子どもたちに健診や予防接種を行う母子保健を提供することは大きな役目です。 こうして、皆様からのご支援をいただきつつスーダンに3棟の診療所を建設することができ、また医療の向上に大きな役割を果たすことができています。 これからも関係者と話しながら診療所が機能するようフォローしていきたいと思います。