スーダンサッカー代表戦
三田君が帰ってきた日です。
スーダン・サッカー協会に連絡を入れると、その日がスーダン代表のワールドカップ予選があるとのこと、
三田君ともども、スーダン代表の応援に行ってきました。
相手は、コンゴです。
スタジアムの周囲は、中に入れない人であふれています。
スーダン南部の人たちでしょうか、コンゴの掛声を上げている集団もいます。
我々は、ゲートにいる警備員に中に入るのを制止されます。
もちろんです。我々はチケットを持っていないのですから。
スーダン・サッカー協会の人がスタジアムの中から我々を迎えに来てくれます。
チケットなしで代表選が見られるのは、三田君のおかげでしょう。
スタジアム内は、試合前で騒然としています。
国歌斉唱の引き続き、試合が始まります。
開始早々、コンゴの動きがよく、スーダンゴールに迫ります。
スーダンピンチ!
その時に、スーダンのゴールキーパーとディフェンダーが倒れます。
そして、レフリーが選手たちを一斉に引き上げさせます。
2人は倒れたまま立ち上がろうとしません。
まさか、銃が撃ち込まれた???
そのうちに会場でハンカチを目に当てる人が出てきました。
我々も目をあけるのがつらくなってきました。
のどの痛みもあります。
これは、催涙弾にちがいありません!
試合は、一時中断です。
どのような状況で催涙弾が撃ち込まれたのでしょうか?
全くの謎です。
そのうち、サッカー協会の人から教えられました。
「場外の人々の騒乱を沈静化するために催涙弾が撃たれ、それが風によってスタジアム内に流れてきた」
こんなハプニングは日常茶飯事です。
しばらくして、試合再開となりました。
試合は2?0でスーダンが勝利し、最終予選に大きく前進しました。
スタジアムは狂喜乱舞です。催涙弾のことは、忘れてしまったようで、勝利に酔いしれています。
これが、日本で起きたなら大変な状況だったでしょう。
でも、スーダンでは何事もなく過ぎ去っていきました。
面白い国です、スーダンは。
川原尚行