入職のご挨拶【神野志帆】
こんにちは! 2019年2月にロシナンテスに入職しました、神野志帆(じんのしほ)と申します。スーダン駐在員として現地に溶け込み、皆様からの想いやご支援をスーダンの人々と結べるよう事業に携わっていきたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
入職前は、英国大学院の戦争学研究所に所属していました。どちらかといえば国際安全保障について学んでいたのですが、私の興味関心はずっと、いわゆる「人間の安全保障 (国家ではなく個人に焦点を当て、各人の生命と尊厳を重視し、をあらゆる脅威からの保護と能力強化をはかるというような概念です。)」にありました。
この概念については、抽象的だから分りにくいだとか潮流からは外れているといった批判も多く、悲しいな、と思っていた時に、ロシナンテスの「医」の概念に出会いました。狭義の「医療」から視野を広げ、教育や給水所のことまでを考えた広義の「医」を知った時、「人間の安全保障」に近いものを感じてドキドキしたことを覚えています。
日本の大学院に通っていた時には、国際教育開発を学んでいました。在学中、論文執筆のためバングラデシュの首都にあるスラムでアンケート調査を実施した際、原体験となるものを得ました。それは、ソニアという9歳の女の子との出会いです。夕方以降は立ち入り禁止と言われていたそのスラムの一角で、彼女は捨てられたドラッグ用の注射器を拾い、私に使い方を教えてくれました。
「昼間はこんなにも平和にみえるスラムで、この子は一体何を見て生活し大人になっていくのだろうか。」
大学院で教育開発を学んでいたにも関わらず、目の前にいる小さな女の子に対し何もできない自分の不甲斐なさを本気で憎んだ瞬間でした。開発分野で仕事をしていくことを一度諦めそうになったこともありますが、ソニアとの原体験が私を引き止めてくれました。今でも自分の決断に迷いが生じた時、彼女は私の活動の指針となっています。
その後は青年海外協力隊やJICAの事業に従事しました。国際開発の仕事に携わってきた結果、ここには書ききれないほどの想いを抱えて今ここにいます。
これまで多くの国を経験してきましたが、スーダンは私にとって初めてのアフリカです。ここでまたソニアのように忘れられない固有名詞との出会いがあるかもしれませんが、今なら少しはできることがあるのではないかと、楽しみに思っている自分もいます。
誰かの生活に多様な選択肢と可能性が開かれ、より豊かに尊厳が守られる状況を創ることは、ソニアから与えられた私の大切なミッションです。そのためにも、一頭のロシナンテとして少しでもプロフェッショナルな仕事ができるように努力してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。