日本への長?い道のり 前編その4
現在スーダンでHAC(Humanitarian Aid Commission、NGOを統括する官庁)に登録しているインターナショナルNGOは214、そのうち185がダルーフールで活動しているそうだ。ただし、そのほとんどは実体がなかったり、営利活動や政治的、宗教的活動をしているという。
我々のようなNGOは人道支援団体ということで、所得税や関税が免除されている。それを利用して例えば車を輸入し、それを転売すれば利益を得ることができる。300万円の車を輸入すれば、関税が100%で普通なら600万円払わないといけないところをNGOは300万円で買えて、それを500万円で売れば簡単に200万円儲けることが出来るということだ。そんなことをする団体が多いので、スーダン政府はNGOに対し厳しくなっていく。HACは色々な報告書の提出を求め、税関でのチェックは厳しく煩雑なものになり、移民局でのビザの手続きも審査に時間がかかってしまう。ただ、政府の上層部の関係者は日本に対する印象がよく、我々に対してもとても友好的だ。問題は現場の役人までその意識が浸透していないことなのだ。HACのインターナショナルNGO担当のディレクターもその1人。最初は我々に対し厳しいところもあったが、長い話し合いを続け最近はかなり友好的で、我々の活動に理解を示してくれている。
さて、私のビザ延長の問題だが、ちょうど翌日そのディレクターと会う機会があったので、その場で私のビザの件を聞いてみた。すると彼もそれは間違いだと言う。そして、6ヶ月といわず、1年間延長できるように私から手紙を書いてやろうと言い、その場で手紙を書いてくれた。これで、HACから移民局へのレターが翌日出て,すぐに1年延長してもらえるはずだといわれる。
ところが翌日になってもHACからのレターが出ない。また「ボクラ、ボクラ」の繰り返し。例のディレクターにどうなっているのか聞きたいが、とても忙しい人でなかなか会うことができない。当初4月9日の出国予定が自分の都合で15日になっていたが、このままではそれでも出国ビザが間に合うか分からなくなってきた。そして数日後やっと会うことができた。彼に話すとそれはおかしいと言う。すぐに自分の書類がどうなっているか部下に持ってこさせる。すると、こちらが提出した書類の自分のポジションがただのスタッフとなっていた。スーダン人スタッフにアラビア語で書類を書かせていたのでチェックすることが出来なかった。ただのスタッフに1年ものビザ延長は認められないとスットプされていたようだ。私の肩書きは事業部長ということになっている。その場で書き直し、これで大丈夫だといわれる。しかし、本当に出国ビザが間に合うのか心配だ。事情を話すと、「ビザの手続きは移民局からHACに完全に移った。私の指示でどうにでもなるから心配するな」と言ってくれた。
と、ここまでが昨日の話し。手続きを始めて1ヶ月以上たったが、いまだビザの延長も終わらず。本当に出国ビザが間に合って、無事日本に帰れるのか。こんなことなので、まだ航空券を買うことも出来ない。しばらくした後、後編に続く予定。
日本までの道のり、中間点は過ぎたか?
霜田治喜