砂嵐、大雨、往診
空がどんよりとしてきました。
雨雲もありますが、違った雰囲気でもあります。
そのうち、強い風が吹き出しました。
そうです、砂嵐です。
外に出ることもできず、小屋の中に佇むだけです。
目をあけると、砂が目に入ってきます。
静かに目を閉じるだけです。
本当に自然の前では、人間はどうすることもできません。
ひたすら、嵐が通り過ぎるのを待つだけです。
コンピューターが入っているバッグをシーツにくるみ、そして布団でまるめました。
こうしておいても、顆粒状の砂が侵入してきます。
そのうちに、砂嵐が、雷を伴った雨へとかわりました。
雨の降る様子が、ある意味、絶景にみえます。
目の前の小屋が壊されそうです。
向こうの小屋はすでに吹き飛んでいます。
1時間以上降ったでしょうか、雨が小やみになったところで、
村人が来ていました。
急病人がでたとのことです。
5キロほど離れた村ですが、彼は走ってきたといいます。
診療所に薬を取りに行き、車で村へと向かいます。
通常の道を通ろうとすると、雨でぬかるんでおり、危険を感じました。
引き返そうとしますが、車が言うことを聞きません。
スタックしてしまいました。
4輪駆動にし、何度かトライしてみてやっとのこと、脱出しました。
村へのアクセスは、どこもみちがぬかるんでおり、どうしようもないと思っていたら、
村人が、道ではなく畑を通れば大丈夫であるといいます。
それを信じ、4輪駆動で畑の中を突き進みました。
なんとか、村にたどり着きました。
車から降りて、家の中に入るのもまた一苦労です。
靴をはいたままでは、靴が泥にとられてしまいます。
靴を脱ぎ、裸足になって歩きます。
ようやく、患者さんのところにたどり着きました。
患者さんを見終わったあとも、他の村人がうちにも病人がいるので、
診に来てくれと言います。
ただ、夜も更けて、車がまたスタックしたら大変だと考え、
明日、来てくれと言って立ち去りました。
これから、雨季です。ちょっと例年より早いですが。
村の人たちは大変だと思いますが、患者さんの運搬体制など考えなければいけません。
川原尚行