前略、高木君
久しぶりのメール、ありがとうございます。
まずは、医師国家試験合格おめでとうございます。
そして、慶応病院での研修は大変なことだと思いますが、頑張ってください。
君と出会ったのは、2年前の春でしたね。
元気の良い3人組でスーダンに来られましたね。
あの頃は、私はガランナハルにいましたね。
3人ともラグビー、サッカー、バスケットとそれぞれ学生時代にスポーツに関わり、
素晴らしい学生生活を送ったようですね。
そして、スーダンでも明るく、スーダンの人々と過ごしましたね。
無事日本に帰りついたと思いきや、君だけはドバイ空港で2人においてけぼりをくらい、
日本に帰るのが一日遅れましたね。
君がトイレに行っている時に、2人が君の搭乗券を持ち、飛行機に乗ってしまい、
あとで、飛行機に乗り込もうとした君が乗れなかったのですね。
そして、そのまま君が飛行機に乗り遅れたように、君一人国家試験に落ちてしまいましたね。
あれから2年たち、ようやく国家試験に合格したとのメールをもらい、私も嬉しかったです。
昨年、東京で会った時に、君の瞳は輝いていましたよ。
その瞳があれば、今後も大丈夫だと確信しました。
人生、挫折も必要です。
君は有名私立高校から大学医学部へストレートに合格し、それから躓いてしまいましたね。
私も挫折の連続です。
でも、挫折があってこそ、そのあとの歩む道に幅ができるものと思います。
ある意味、勝ち続けていく人生は、どこかで何かを失くしていく、あるいは見失っていくものかもしれません。
その意味では、君は大変良い体験をしたのだと思います。
君のその大きな体のように、君の将来は大きく羽ばたくものと信じています。
どうぞ、慶応病院で医師としてそして、外科道を修練してください。
東京でまた会いましょう。
川原尚行