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スーダン2007.03.23

日本への長?い道のり 前編その3

私はスーダン人を尊敬している。彼らはとても親切、フレンドリーで、高い倫理観を持っているからだ。バスに乗っていると知らない人がいつの間に自分のお金を払っていてくれたり、ハルツームのような都会でも泥棒や強盗は皆無。(最近は治安が悪くなってきたが、他のアフリカ諸国の都会に比べると驚くほど安全。)アフリカ諸国で聞くような賄賂の要求も無い。(上層部では少しあると言う話も聞くが。)ある人が大変いいサービスを受けたのでチップのつもりでお金を渡そうとしたら、驚いて固辞されたそうだ。そんな話を聞いても普段のスーダン人を知っている自分は納得してしまう。スーダン人には(アラブ人全体にいえることだが)親切は無償でするものという考えが身についているようだ。ところが、今回少し悲しい思いをしてしまった。
さて、前回の続き。スーダン人スタッフの話では、お金を払わなくても翌日ビザを発給してくれることになったそうだ。ところが、それから毎日毎日、「ボクラ、ボクラ」と言われるばかり。そして4,5日経った後、スーダン人スタッフからお金を払ったので明日ビザがもらえると言う。それを聞いて驚いた。「なぜお金を払った。」「領収書はちゃんともらっているのか。」「これから抗議の手紙を書いてお金を取り返さないといけない。」そう言うと、スーダン人スタッフは、そんなことをされると今後移民局での仕事がやりにくくなると言う。聞くと払ったお金は日本円にして600円程度。へたに問題を大きくする事もないのと諦めるしかなかった。
ところが、それから2日経ってもビザは出てこない。これはもう大問題である。こういう時、スーダンではコネを使うしかない。スーダンはコネ社会なのだ。何か問題があると関係者の知り合いなどを見つけて口を利いてもらう、するとそれまでどうにもならなかった問題があっという間に解決してしまうのだ。しかし、このコネを探すが大変なときもあり、お金を払うから解決して欲しいと思うときもある。今回は幸いにもこの人に頼めば何とかしてくれるだろうという当てがあった。スーダンには日本に留学して、スーダンでそれなりの地位についている人が多い。私たちはそういうスーダン人を何人か知っており、皆我々に好意的でこれまでいろいろ助けてもらったこともある。ただ、それなりに地位のある人なのでよほどの事でないと頼みにくいのだが。
そして3日目、今日ビザが出なければ頼むしかないと考えながら自ら移民局へ。移民局に行くと、別のNGOで働く知り合いのスーダン人スタッフに会う。今までこういう手続をすべて自分でやっていた時に知り合い、分からない事をいろいろ教えてくれた親切な男。彼からNGOのビザ関係の手続きは移民局からHACに来週ぐらいに移ると聞く。HACとはいままで何度も話し合いをして、とてもいい関係にある。これで移民局まで来て大変な思いをしなくてもよくなると思ったら、ほっとした。そしてこの後自分のビザもあっけなく出てくる。物事とはこういうものなのか。すると、一緒に来ていたスーダン人スタッフからこう言われる。「移民局で今回手続きを手伝ってくれた役人に電話のプリペイドカードを送らないといけない」と。それを聞いてとても悲しい気分になった。そんなものを要求されたのは初めてだ。そしてこう答える。「もう、移民局に悩まされることはない。だからそんな必要はない」と。
事務所に戻り、次の出国ビザの申請手続きの用意に。ところが、そこで重大な間違いに気づく。本来6ヶ月延長されるはずのビザが3ヶ月しか延長されていないのだ。1万5千円ほども払ってたったの3ヶ月しか延長されていない。スーダン人スタッフもこれは明らかな間違いだといっている。やっとのことでビザをもらえた喜びで、きちんと確認するのを忘れていたのだ。
日本への道、泥沼化?
霜田治喜