特定非営利活動法人ロシナンテス

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乾いた土地で感じる恵み。初めてのスーダン出張

はじめまして。10月にロシナンテスに入職しました寺田美知子です。
ロシナンテスに入職するまで、私は看護師、保健師として日本国内やキリバス、ソロモン(どこか知ってますでしょうか…)で活動してきました。

私は普段は日本でスーダン事業を支える仕事をしているのですが、今回初めてスーダンに出張し、現地の様子やロシナンテスのスーダンでの事業を見てきました。今回は、約2週間のスーダン滞在で感じたことを報告いたします。

スーダンの第一印象は「砂の国」。
首都ハルツームは立派な大通りが多いのですが、一本横道に入ると砂のでこぼこ道で、靴の中が砂でざらざらになってしまいます。

家のドアや窓を閉めていても、細かい砂がどこからか入ってきて、すぐに家具などに積もってしまいます(クリーナーのイルハームが大活躍です)。

ハルツームから車で8時間以上かかる北コルドファン州の栄養事業視察にも行ってきましたが、その間の景色も9割以上が砂漠。
白ナイル・青ナイル川の合流地点であるハルツーム周辺はナイルの恵みや発電機を使った灌漑設備のおかげで畑が多いのですが、街から離れるほど、そして舗装道路から離れるほど、目に映る緑の量が明らかに減り、白茶けた風景になっていきます。

12月は乾季である上に、ソルガム(スーダンの主要穀物)がちょうど収穫期を終えたところだったので余計に緑が少なく、視界に入る食べ物と言ったらヒツジ、ヤギ、ウシ、ラクダなど、どちらかというと緑を食べてしまう家畜ばかり(そしてみんな何となく茶色…)。

厳しい自然環境の中で「皆、何を食べているんだろう」と心配になってしまいます(ヒツジですかね)。

景色の9割が茶色の砂漠

そんなスーダンの第二印象は「プチ・オアシスの国」。
茶色なスーダンだからこそ、ちょっとした緑が印象に残ることが多かったです。

ハルツームには植木屋もあり、政府系の建物や大きなモールの前にはきれいに刈り込まれた木や花が植えられていたりします(ついでに噴水まであったりして)。
オフロードを何時間も走った砂漠の村の家でもブーゲンビリアやバジルが植えられていたり、砂漠の木陰に家畜用の垣根を作ってあげていたり。

スーダンの人たちが緑を大切にしている風景に親しみを感じ、何度も癒されました。

家畜のための木陰

また、道を歩いていて気になったのが、謎の水がめと水差しの多さです。
特に素焼きの大きな水がめは、多い所では数件おきに道端に並べられており、中には子ども一人入れそうなサイズのものもあります。
聞いてみると、素焼きのかめは飲み水用、水差しは主にお祈り前の浄め用(お祈りの場所はモスクに限りません。市場の一画などでは敷かれたござの上でおじさんがごろごろ昼寝していたりしますが、時間になるとここに皆がきちんと並び、厳かにお祈りが始まります)、とのことでした。

これらの水は各家の人が管理しているそうですが、どちらも誰でも 無料で利用できます。

町中のプチ・オアシス、水がめ

ちなみに砂漠の村では「ギルバ」というヒツジの革に水を入れたものが吊るされていました。

見た目はちょっとグロテスクですが、水は気化熱で冷えるためおいしいそうです(味見をしようとしていたら私のお腹を心配したドライバーに止められてしまい、手を洗わせてもらっただけでした)。

「ギルバ」(尻尾部分が注ぎ口になります)

さらに、訪問先では甘い紅茶やコーヒーでもてなされることが多かったのですが、北コルドファン州の砂漠の村では、おじいさんが痛む足をひきずりながら自分の家からバケツに入った水を運んできてくれました。
この村には池や井戸がなく、毎日近くの町からトラックで運んでくる水をお金を払って買っています。おじいさんは、私たちが村に来たことを聞きつけて、その貴重な水をもってきてくれたそうです。

乾いた土地だからこそ、ささやかな緑や水の新鮮さを分かち合え、人々の優しさを感じられる、そんなプチ・オアシスにたくさん出会うことができたスーダン出張でした。