巡回診療の満足度調査
こんにちは!スーダン事務所の渡邊です。
今回は、プロジェクトを進めるうえで非常に大事な「プロジェクト評価」の話をしたいと思います。
ロシナンテスのスーダンにおける一番大事な事業は「巡回診療」です。そして、住民がその巡回診療をどう思っているかは非常に重要です。
医療サービスを評価する上で、もちろん「死亡率を減らした」「病気にならなくなった」なども非常に大切ですが、住民の満足度も同様に大切と言われています。利用者が医療サービスに満足していなければ、なかなか病院によりつかなくなってしまいます。何でもかんでも病院に行けばいいというわけではありませんが、体の問題があるのにどうせ何もしてくれないからと病院に来てくれないのは大きな問題です。
また、住民が「医療」全体に満足することは、住民自身が前向きに保健の問題に取り組むことの基礎ともなります。ロシナンテスとしては、巡回診療で医療のよい面を知ってもらい、そして前向きな住民たちとともに地域の保健を作っていきたいと考えています。
さて、難しい話を書いていますが、この満足度、評価するのはさらに難しいです。
まず、そもそも満足度とは何でしょうか。
「病院に行ったら先生が話をよく聞いてくれて満足!」
「病院に行ったら先生がかっこよかった!かわいかった!満足!」
医療サービスに関わる感想の中には色んな満足があります。
しかし、上の例で分かる?とおり、「その満足が本当に医療の質に対するものなのか?」「医療に対して前向きに向き合うことを促すものなのか?」と考えていくと、「とりあえず満足していますか?」と聞くだけでは不十分であると分かります。
そんなわけで、今年やりたいと思っていたこの医療に関する満足度の調査について、ハルツーム州の保健省、研究部門と議論を重ねてきました。
最終的には保健省の「ちゃんと住民の間で議論をし、細かい文脈も含めたデータをとることが重要なのではないか」という助言もあり、5つの村で巡回診療についてのグループディスカッションをすることになりました。
データ記録のために保健省の職員がついてきたり、データは大事だからとついてくるこれまた別の政府職員がいたりと、大所帯での調査になり、最終日は車3台で村へ向かいました。また、雨季のシーズンも重なり、5つの村に行くのは非常に大変でしたが、一度現場の仕事を始めてしまえばするすると進んでいくのがスーダン。1週間もかからずにデータ収集を終えることができました。(政府との交渉に3ヶ月もかけたのは何だったのか…)住民たちも「それは大事」と集まってくれ、色んな意見を言ってくれました。
データをまとめるのはこれからですが、巡回診療に対してはおおむね肯定的な評価をしてくれたようで一安心。こういった議論をしながら、少しずつ前に進んでいけたらと考えています。