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スーダン2017.02.02

米国大統領令へのスーダンの反応

米国のトランプ大統領が、スーダンを含む中東アフリカ7カ国の、米国への入国を制限する大統領令を発したことで、混乱を来たしているようですが、現在のスーダンでの様子をお伝えします。
スーダンの街の様子は、いつもと変わりなく淡々としています。

 

いつもと変わらず穏やかに流れるナイル川

いつもと変わらず穏やかに流れるナイル川

 

私の友人に、今回の米国の大統領令のことを聞くと、うつむきながら、
「スーダンは前からテロ支援国家に指定されているので、いろんな制限を受けている。現在のスーダンの政権が変わらない限り難しい状態は続くよ」と答えてくれました。

 

その通りで、スーダンは、以前よりテロ支援国家に指定され続けています。
しかし、昨今のニュースを見る限りスーダンではテロは起きていません。
また、スーダン人が関わったようなテロも見ることはありません。
過去に、オサマ・ビン・ラーディンがスーダンに潜伏していたことはありますが、その後、スーダンから国外追放になっています。
ビン・ラーディンがテロに関わっていたことは周知のことですが、ニューヨークでのテロが起こったのは彼がスーダンを国外追放になってからです。
それが根底にあるのか、南スーダンの独立を認めても、まだテロ支援国家に指定されたままです。

上空から見たスーダンの街

上空から見たスーダンの街

そのような中、米国にいるスーダン人は、少なくありません。
私のスーダンの友人の家族も米国にいるのですが、今後家族とどう会うのか、頭を抱えています。
スーダンから米国へは渡航できませんし、米国にいるスーダンの人がスーダンに里帰りした後に、米国に再入国できるのか不明だからです。
スーダンは、家族の絆がとても強いです。
日本では、「便りのないのは良い知らせ」とも言われますが、スーダンの人たちはインターネット電話などを通じて、海外の家族とも日頃から連絡を取り合っています。
そして、スーダンの人たちは、イスラムの祝祭日には、日本の正月やお盆のように故郷に戻って、家族との時間を楽しみます。
それが現状では困難になっていることに、大きな不安を抱えています。

 

また、スーダン人の医師が、米国で高度医療の研修をするように計画していましたが、延期にせざるをえませんでした。
スーダン人国籍の米国にいる医師が、サウジアラビアから米国に帰国しようとして、入国を拒否されたという報道もありました。

 

私の周囲の日本人で、戦前のイラクやシリアに渡航経験のある人は、「当時のイラクやシリアの人たちは、スーダン人のように皆優しく、治安もとても安定していた。」と言っています。
スーダンにも、現在多くのシリア難民が入ってきています。
シリア人と話す機会もありますが、現在の報道以上に現場は惨憺たるものだそうです。
スーダンがシリアのようになる可能性は、悲しいことに完全には否定できません。

 

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この写真のように、スーダンの人たちの温かい微笑みを見ると、戦乱にならないことを祈るのみです。
そのためにも、我々は、ここスーダンで踏ん張り、地域医療に貢献していきたいと思います。

 

川原尚行