スーダン2016.12.09
大阪大学医学部保健学科チームのスーダン来訪
こんにちは。川原です。
大阪大学医学部保健学科地域ヘルスケアシステム科学研究室の
小西かおる教授、白井文恵助教、堀池諒介院生、張俊傑(シュンスケ)研修生、それに高渕紗矢香学部生の計5名が、
11月18日から同月30日までアルアザイム・アルアズハリ(アズハリ)大学の招聘によりスーダンに滞在しました。
アズハリ大学の受け入れ担当であるアハメド医師が、
スーダンの看護学部の大学院生を紹介してくれ、その方々と共に地域住民へのインタビューを行い、
また九州国際大学付属高校に留学経験のある、ハルツーム大学生のゼインが通訳として参加してくれました。
今回は、我々が巡回診療を行うハルツーム州シャルガニール地域ワッドアブサーレ区で、三つの活動を行いました。
まずは、ロシナンテスの巡回診療チームのモニタリングです。
これは、保健省のモハメドユーシフと一緒に行ってくれました。
毎月、巡回診療チームから活動をまとめたデータが送られてきますが、その中で欠けていたものを指摘されました。
『死亡者数と死亡原因です。』
スーダンでは在院死が少ないので、ほとんどのケースが在宅死だと思いますが、そのデータを取っていませんでした。
担当者のモハメドユーシフも、どうやってデータを取れば良いのかわからない感じでしたが、
これは、地域の方々の協力がないとできません。今後の課題とさせていただきます。
次に、村に生活する女性たちに自分自身の身体のことを知ってもらうべく、
月経カレンダーの導入を試みるための活動を行いました。
まずは、どれくらいのことを知っているのかとアンケート調査です。
最初の質問は、「今日は何日か知っていますか?」です。
知っている場合は、「どんな方法で知りましたか?」
日本で生活していると想像もできないでしょうが、このような質問から入ります。
回答としては、「他人に聞く」さらに「携帯電話を見る」というのも結構な数がありました。
「月を見て、いつくらいかを判断する」という回答もあり、スーダンらしいと感じました。
このカレンダーを導入する目的は、まずは自分の身体を知ってもらうこと。
その後、出産後に2年は次の出産を控えるようにとプロモーションしてきていますが、
それをさらに推し進めるものとなります。
まだ手始めですので、導入できるのか、また導入した後、彼女たちにどのようなことが起きるのか、
さらにそれを知った男性たちがどう思うのか。
イスラム教色の強い中で、どんな反応になるのかわからない点が多いですが、
地域住民と話をしながら、進めていきたいと思います。
最後に、水質検査とGIS(Geographic Information System:地理情報システム)の調査です。
スーダンでも、スマートフォンで位置情報を取ることができます。
それを利用して、どの水源がどれだけ安全な水か、逆に言えばどの水源が汚染されているかを調べます。
このGISですが、いろんな情報を掲載して可視化することができます。
感染症の拡散の状況なども、これで分かるようになります。
大阪大学は、まずは水をターゲットにして調査を開始しました。
これら調査を、スーダンの大学や地域住民が参画して一緒に調査できる体制を目指していきます。
上記の研究を継続させていくために、大阪大学医学部保健学科とアズハリ大学看護学部との学術協定のための覚書の下準備ができました。
大阪大学チームの皆様、過酷な環境の中での調査を、本当にありがとうございました。
皆様方の努力が、今後スーダンで生かされますように頑張って参ります。