村のディスペンサリーの再建と女性の教育~村の風習~
ロシナンテスでは今、巡回診療(モバイルクリニック)が担当するワドアブサーレ地域のうち
3つの地域において診療所(ディスペンサリー)の建設・再建を計画しています。
詳細・関連記事は
http://blog.livedoor.jp/rocinantes_staff/archives/7644619.html
http://blog.rocinantes.org/2014/12/post-790.html
をご覧ください。
村の大きさや人口や周辺の村々の数など色々な事を考慮し、セレリア・アラハンダ・ワドシュエインの3つの村に決定しました。
地図上の上からワドシュエイン、アラハンダ、セレリアで、一番首都から遠いワドシュェインで車で
2時間半ほどかかります。
セレリア・アラハンダ・ワドシュエインともにそれぞれ規模の大きさは全く違いますが、
3つの村ともそれぞれ診療所があります。
セレリアの様子は、
医療スタッフへの聞き取り調査:https://www.youtube.com/watch?v=dg-_Ac9znTM
視察と住民との話し合い:https://www.youtube.com/watch?v=8dYFvkoBJG4
村の風景:https://www.youtube.com/watch?v=bgLo-PkvYFI
をご覧ください。
(動画の編集は初心者のため美しくないですが、雰囲気は感じ取ってもらえると思います。)
アラハンダの様子、
セレリアよりは小さく、医療器具もそろっていません。
巡回診療が提供する医療サービスにほぼ頼っています。
ワドシュエインの様子、
まだ、診療所(ディスペンサリー)を建てはじめたばかりで、
中はまだ手を付けられていませんでした。また耐久性などを考えると、
完全に地元資材(ローカルマテリアル)で建設してしまうと、
何度も今後修理が必要になるため検討が必要な所です。
視察は1日に3村・各村を訪問し、村の村長さんを含めリーダー達に説明を行います。
なぜ診療所が必要なのか、診療所を建設するうえで必要なもの・人はどうするのか、
もちろんディスペンサリーを再建は日本の皆さんの支援のおかげである事も伝えます。
そして一番重要なポイントは、私達ロシナンテスが一方的に診療所を建築するのではなく、
持続可能な(私達ロシナンテスがいなくても村人たちだけで将来、診療所の経営を可能にし、
ずっと維持・更に向上させていく事が出来る)診療所を村人全員と築き上げていく事です。
村人たちは言いました。
「月に1回の巡回診療では満足な医療を受けるのに不十分であり、私達ロシナンテスのようなパートナー(診療所の再建に協力し、村人の知識向上や健康教育を行う仲間)を待っていた。私たちは協力する準備ができています。」
そして、村人たちは出来る最大の協力をおしまないと約束してくれました。
医療サービスを提供するヘルスボランティアを村人の中から育成する事、
診療所(ディスペンサリー)再建に少しでも何か(砂
や木・レンガなど)協力する事など、
一つずつ内容を確認していきます。
しかし、一つだけワドシュエイン村で意見が食い違うところがありました。
それは・・・、助産師の育成についてです。
国によって違いますがスーダンは日本と同様に助産師には女性しかなれません。
セレリア村の近くやアラハンダ村には助産師さんがいますが、
ワドシュエイン村にはだれ一人いません。
そして、継続性や将来の事を考えると、村出身の助産師さんが一番理想的な形だと考えています。
つまり、村の女の子・女性への教育がとても大切になってきます。
助産師を育成するには助産師学校に行かないといけません。
しかし、スーダン特に田舎の地域では女の子を村から出したくないという風習・考えが根付いています。(助産師学校は首都にあり、入学すると寄宿舎生活になります。)
私達日本人なら女性の自立や女性の社会進出が比較的進んでいますが、
ここスーダンでは田舎に行けば行くほど自分達の生まれ育った土地から出る事を好まない傾向にあります。
特に、結婚前の女の子は家を離れて暮らす事が認められないのが多いです。
まだ、私達はこの問題をどう解決したらよいか答えが出ていません。
とても大事で村人の為になる事だからと一方的に私達の考えややり方を押し付けても、
決して受け入れてもらえませんし村の風習が変わる事も決してありません。
(また、村の伝統的な風習を変える事が良いと言う事ではありません。)
ワドアブサーレ地域にいる約30人の助産師さん達に協力してもらい、
担当を決めて全ての村をカバーできるように働いてもらうか・・・、
助産師学校を近くに建設するのか?(近々助産師学校が建設される予定であると言う人もいますが、
ここはスーダン。確実な情報が必要です)。
また、助産師さんがいた時のお産の安全性を実感する事が出来たら、将来女の子が助産師学校へ通う事を
認めてくれるようになるのか?
また、何かを変えようとしたり、新しいものを取り入れる時、提供する側がいつも答えを用意したり、いくつものアイデアを提示するのではなく、何かいいアイデアが村人の方から提示してもらえるような形。
つまり、村人が誰かに言われてその通りに動くのではなく、村人自身が自分達の生活をさらに改善していくため必要な改善点・行動を男性・女性・子供・老人全員を含めた皆で考える事がとても大切だと思っています。
また、私達ロシナンテスが住民が自分達で村の将来を真剣に考える機会を作る手伝いが出来たらと思っています。
そして、みんなで協力して良いアイデアや方法を考え出すことが出来たら嬉しいと思っています。
診療所(ディスペンサリーの)再建は今後約3年をかけて少しずつ行う予定ですので、また今後の展開をお待ちください。また、何か良い案や感想などありましたら一緒に考えていただけると私達も嬉しいです。
巡回診療事業
田中 香子