スーダンのおもてなし~香り編~
スーダンの男性も女性も香水が大好きです。
スーパーや市場に行けば必ずたくさんの種類を扱った香水専門店があります。
10スーダンポンド(日本円で200円)から好きな香りを選んで、
オイルのまま購入するか精製水と混ぜて香水にするか選ぶことが出来ます。
日本では女性が甘い香りを付けている事が多いですが、
こちらでは男性も甘い香りをつけていて身だしなみの1つとして考えられています。
また、結婚式や誕生日のプレゼントに「何がいい?」と聞くと大抵は「香水」という答えが
返ってきたり、長距離バスに乗った時もバスの中で休憩所毎にシュシュと運転手さんが甘い香りの
スプレーを車内にまく程みんな香りが大好きで、香水(香り)は生活の一部になっています。
さて、そんな香水ですが、スーダンでは面白い習慣があります。
スーダンではお母さんと赤ちゃんは出産後1週間家の中の1つの部屋
(母子専用の部屋、台所にも近づきません)で過ごし、
出産後40日間は家の中で過ごすという古くからの習慣があります。
(もちろん病気や緊急時は例外です。)
その40日の間に村中のたくさんの人がお祝いに家を訪問しますが、
スーダンでは産後の訪問に来てれたお客さんに香水をふるまう習慣があります。
お母さんと赤ちゃんのベッドの近くには必ず香水が置いてあり、
挨拶に来てくれた人に香水をつけてもらいます。
先日、巡回診療の視察へ行った時も新しく2人のお子さんが生まれていました。
助産師さんが産後検診の後に香水をすすめられて、手を伸ばしている所です。
とても甘い香りの香水をこの後、助産師さんは全身にスプレーしていました(笑)
後ろのお母さんは、2週間前に元気な男の子を出産しました。
こちらも、先週出産したばかりのお母さんです。
恥ずかしがって後ろに隠れて出て来てくれなかったのは4歳になるお兄ちゃんです。
ベッドの手前にあるペットボトルに入っているのが香水で、1枚目の写真の香水は既製品ですが、
こちらは村の女性達があつまって自分たちで作ったローカル香水です。
基本的な香水の作り方は村々で同じだそうですが、手作りのため材料の分量などで少しずつ
香りに変化があります。
もちろん、助産師さんは香水をまた全身に振りかけていました。
日本でも、妊娠中から産後アロマオイルをつかってマッサージをしたり芳香浴を
楽しむ事が流行っていますが、このようにスーダンでは来てくれたお客さんを
香りで「もてなす」習慣があります。
スーダン人の「おもてなし」はすごいと常々思っていましたが、
こんな小さな細部にまで家を訪れた人に心を配る事が出来るのはすてきだなぁと感じます。
また、巡回診療(モバイルクリニック)チームはたくさんの家庭を訪問しますが、
香水を勧められるとスタッフは前の家で別の香水をつけていても、
何度も家庭ごとであたらしい香水を付け直しています。
私達は健診に村々へ行ってますが、このように「おもてなし」を受けると、
この巡回診療が村人に受け入れられていると感じると同時に、
病院や施設では味わえない家庭訪問ならではのアットホームな暖かい雰囲気を感じる事ができ、
とても嬉しい気持ちになります。
巡回診療事業
田中 香子