特定非営利活動法人ロシナンテス

活動報告ブログ

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スーダン2015.01.13

巡回診療でのリハビリテーション

201411月 巡回診療(モバイルクリニック)の視察に出かけた時に麻痺のある
5歳の男の子 アズマくんに出会いました。
(以前の記事は

http://blog.livedoor.jp/rocinantes_staff/archives/7653756.html

http://blog.rocinantes.org/2014/11/post-776.htmlをご参照ください。)

今回、アズマくんを継続的にサポートしていくためにJICAの青年海外協力隊として
スーダンで活躍されている
2人の理学療法士さんに協力していただき、
リハビリテーションの方法を一緒に考えていただきました。

日本のように車いすや快適なクッション、時には普通の椅子でさえ家にない事があります。

その中で、どのように今あるものを最大限に使ってQOL(生活の質)をこれ以上低下させず、
アズマくんと家族をサポートできるかが一番大事になってきます。

また、アズマくんのお母さんは第2子を妊娠中で20152月頃には出産を迎えます。

スーダンの家は両親、親戚など一緒に住んでいて比較的大家族のため協力して生活していますが、
医療施設から遠く本当に助けが必要な患者さんや家族は孤立した状態にあると言えます。

一人でも多くの人がアズマくんとお母さんをサポートできるように、
ロシナンテスの私達は出来る事をしていかないといけません。

ロシナンテススタッフと理学療法士さんの話し合いの後、
たくさんの具体的なアイデアを簡単な説明文とイラストを付けて資料を作成しました。

そして、201412月に巡回診療(モバイルクリニック)の視察の途中で
シャルガニール保健省のモハメドユニスがアズマくんの家を再び訪れました。

(ロシナンテスのスタッフは残念ながら12月は移動許可書(トラベルパーミッション)が取れず
同行することが出来ませんでした。)

モハメドユニスは地域医療のプロですが医療者ではない為、リハビリを教えるのは初めてです。
このため前日に作成した資料を説明しリハビリの方法や生活環境の工夫点を伝えました。

・家にアズマくんに合う椅子があるか?

・スーダンの女性が頭に巻くもの(Tarha:タラハ)を使用して首の支えできるか?

・椅子や支えになるものが無かったら、家の壁の四隅を利用して、体を預けられるか?

・床は地面なので掘って、掘り炬燵みたいにできないか?

・毎日できる四肢のリハビリの方法、ポジショニング(快適な姿勢を維持する方法)はどうするのか

実際の現場では資料に沿って出来るだけ多くの案を出して、
アズマくんの状態や家庭の状況にあった方法を家族が選べるように
モハメドユニスがお母さんや家族に一つずつ丁寧に説明してくれました。

スナップショット 1 (2015-01-08 13-00) (460x259)スナップショット 5 (2015-01-08 13-07) (460x259) - コピー
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ご覧のように、支えがないとアズマくんは姿勢を維持する事が出来ません。
今自宅にある椅子では頭部や体幹を支える事が出来ないため椅子に改良が必要な事や、
他の方法を探す必要がある事がわかります。

さて、アズマくんの家族は毎日リハビリを実践し、姿勢を維持する方法を自分達で
考えてくれるでしょうか?

今後、1カ月後の20151月にもう一度フォローを行い、
青年海外協力隊の理学療法士 百瀬さんと彼女と一緒に働いているスーダン人 理学療法士の方も
2月の巡回診療に参加してくれる予定をしています。

一度きりの訪問で終わらず、継続的に関わっていくことで患者さんや家族との信頼関係を築いく事が大切です。
また、その小さなつながりが、まだ出逢ったことが無い、
しかし誰かの助けを必要としている人に広がっていければと思います。
そしてロシナンテスにそのお手伝いが出来れば嬉しいと思っています。

スーダンで生活をしていると、障害を持った子どもたちや病気だけれど病院に行く手段やお金がない、サポートをどこで受けられるか分からないという人達がたくさんいる事が分かります。
アズマくんの例はほんの一例です。

全ての人が、困った時に適切なサポートを受けられるように継続した医療・保健サービスを
提供できるシステムを作っていく事が強く求められています。


母子保健担当

田中 香子