村の診療所をたずねて
10月30日にハルツーム州シャルガニール郡ワドアブサーレ地区の3つの村を訪問してきました。その目的は村にあるベネフィシャリーと呼ばれる簡易診療所の状況を調べることです。ロシナンテスではこの地区の巡回診療事業をサポートしていますが、村からみれば巡回診療チームは月に1日しかやってきません。したがって、それぞれの村で簡単な診療が受けられる拠点が必要になってきます。現在、この地区の32の村にその簡易診療所は9カ所ありますが、人材の面から稼働しているのは6カ所のみです。今回は9カ所のうち3カ所を見て回りました。
1カ所目は診察室、観察部屋、薬の部屋があり、この日にみた3カ所のうちでは一番広くてものがそろっていましたが、診察室に置いてあった血圧計は壊れていました。診療にかかわるスタッフは1人だけで、診療所の隣には宿舎もありました。2カ所目は診察室ともう1部屋だけで、ここでも診療に関わっているのは1人だけでした。診療所の隣には学校の設備があったのですが、天井が壊れていて現在は使われていませんでした。3カ所目はまだ作っている途中でした。3つの診療所でそれぞれ村の人たちと話し合いの場を持ち、現在の状況について話を聞きました。診療所では問診、診察と処方、応急処置がおこなわれ、対応できないケースはこの地域にある病院に紹介することになります。移動はもっぱらロバ車(ロバに荷車をひかせる乗り物)であり、車のように速く移動できるわけではありません。また村と村との間も6から8キロと離れています。このような環境であることからも診療所の機能を強化することが重要になります。
今回3つの簡易診療所を見てまわり、正直どこから手をつけたらいいのか途方にくれました。いわゆるヒト、モノ、カネのいずれも足りていません。人材を育成し、設備を揃え、それらを維持していくための十分なお金をそろえることは容易ではありません。この中でまずできることとしては医療にかかわる人材の育成と住民への健康教育だと考えています。とくに住民への健康教育は予防医療の面からも大変重要です。11月には妊婦さんを対象とした健康教育をおこなう予定にしています。またこのブログで報告させていただきます。お楽しみに。