犬とクローバー
その時には全てのことが分かっていなくて
後から色んな話しを聞いて、「そうだったんだ」と繋がることがあります。
とあるおばあちゃんの話しを聞き、感動しました。
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それは、東北の寒い冬が終わり、桜が咲いた日のこと。
ロシナンテスは被災者の方と「お花見をしましょう」と企画し
千本桜が有名な船岡城趾公園で総勢80名ほどでお花見をしました。
その日は青空が広がり、桜が綺麗に咲いていました。
スタッフは場所取りをしたり、バーベキューの準備をしたり、引率をしたりと大忙し。
それでも、震災発生から40日が過ぎ、避難所での生活から久しぶりに外出をした皆さんは
とても喜んでくださっていて、それを見ると頑張ろうと思って動いていました。
そんな中、子どもたちの注目を集めたのが犬。
手伝いに来てくれていた人が、犬を同行していて、その犬はあっという間にみんなの人気者に。
しばらくすると、お花見に来ていたおばあちゃんが犬の散歩を始めました。
乾杯をして、美味しそうなバーベキューが出来上がっても、そのおばあちゃんは犬の散歩をやめず
ずっと公園の中を歩いていました。
あまりに長い時間の散歩に気になったものの「犬が好きなんだなー」ぐらいに考えていました。
お花見は大いに盛り上がり、
子ども達は公園を走り回って、大人達は歌って踊ってと
本当に楽しい一日となりました。
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お花見の開催から半年以上が経ち、すっかり思い出になっていましたが
犬の飼い主さんが、お花見のときの写真を渡したいと来てくれて
そのおばあちゃんのことを話してくれました。
おばあちゃんは「ダイスケ」という犬を飼っていましたが
残念ながら津波に巻き込まれ流されてしまったそうです。
避難所でもずっと塞ぎ込んでいて、狭い自分のスペースから動こうとしませんでした。
お友達が声をかけても元気がありません。
きっと、お友達が誘ってくれたのでしょう。
おばあちゃんはお花見に参加してくれました。
そこで、犬と出会いました。
犬種も全く違うその犬を「ダイスケ」と呼んでかわいがり、ずっと散歩をしていました。
一緒に来た人達は「ダイスケはもう死んだんだよ」と言っても
「この子はダイスケなのよ」と言い続け、錯覚しているのかな?と心配になったそうです。
そんな心配をよそに、おばあちゃんはダイスケのために
「四つ葉のクローバー」を探し始めました。
目が悪いおばあちゃんが摘んだほとんとは普通のクローバーだったそうですが
その中に一つだけ四つ葉のクローバーがあり、大変喜びました。
そして、その四つ葉のクローバーを犬のおでこに優しく載せて
「ダイスケの分まで幸せになるんだよ」
と言ったそうです。
おばあちゃんは分かってたんですね。
ダイスケが亡くなったことも、この犬がダイスケではないことも。
きっとダイスケは、おばあちゃんのことを天国で見守ってくれていると思います。