特定非営利活動法人ロシナンテス

活動報告ブログ

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日本2011.10.23

犬とクローバー

その時には全てのことが分かっていなくて

後から色んな話しを聞いて、「そうだったんだ」と繋がることがあります。

とあるおばあちゃんの話しを聞き、感動しました。

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それは、東北の寒い冬が終わり、桜が咲いた日のこと。

ロシナンテスは被災者の方と「お花見をしましょう」と企画し

千本桜が有名な船岡城趾公園で総勢80名ほどでお花見をしました。

その日は青空が広がり、桜が綺麗に咲いていました。

スタッフは場所取りをしたり、バーベキューの準備をしたり、引率をしたりと大忙し。

それでも、震災発生から40日が過ぎ、避難所での生活から久しぶりに外出をした皆さんは

とても喜んでくださっていて、それを見ると頑張ろうと思って動いていました。

そんな中、子どもたちの注目を集めたのが犬。

手伝いに来てくれていた人が、犬を同行していて、その犬はあっという間にみんなの人気者に。

しばらくすると、お花見に来ていたおばあちゃんが犬の散歩を始めました。

乾杯をして、美味しそうなバーベキューが出来上がっても、そのおばあちゃんは犬の散歩をやめず

ずっと公園の中を歩いていました。

あまりに長い時間の散歩に気になったものの「犬が好きなんだなー」ぐらいに考えていました。

お花見は大いに盛り上がり、

子ども達は公園を走り回って、大人達は歌って踊ってと

本当に楽しい一日となりました。

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お花見の開催から半年以上が経ち、すっかり思い出になっていましたが

犬の飼い主さんが、お花見のときの写真を渡したいと来てくれて

そのおばあちゃんのことを話してくれました。

おばあちゃんは「ダイスケ」という犬を飼っていましたが

残念ながら津波に巻き込まれ流されてしまったそうです。

避難所でもずっと塞ぎ込んでいて、狭い自分のスペースから動こうとしませんでした。

お友達が声をかけても元気がありません。

きっと、お友達が誘ってくれたのでしょう。

おばあちゃんはお花見に参加してくれました。

そこで、犬と出会いました。

犬種も全く違うその犬を「ダイスケ」と呼んでかわいがり、ずっと散歩をしていました。

一緒に来た人達は「ダイスケはもう死んだんだよ」と言っても

「この子はダイスケなのよ」と言い続け、錯覚しているのかな?と心配になったそうです。

そんな心配をよそに、おばあちゃんはダイスケのために

「四つ葉のクローバー」を探し始めました。

目が悪いおばあちゃんが摘んだほとんとは普通のクローバーだったそうですが

その中に一つだけ四つ葉のクローバーがあり、大変喜びました。

そして、その四つ葉のクローバーを犬のおでこに優しく載せて

「ダイスケの分まで幸せになるんだよ」

と言ったそうです。

おばあちゃんは分かってたんですね。

ダイスケが亡くなったことも、この犬がダイスケではないことも。

きっとダイスケは、おばあちゃんのことを天国で見守ってくれていると思います。