授かった命②
先日のお伝えした、双子の赤ちゃん。
あれから2週間が経ちました。現在生後1カ月。
母乳に加え、粉ミルクを混合させて、摂取する量を増やし、1,7kg⇒2kg、2kg⇒2.3kgまで体重が増えました。
粉ミルクといっても、途上国での粉ミルク供給には危険もはらんでいます。
まず、水を煮沸させてキレイな水でつくっているか。哺乳瓶をきれいに煮沸消毒できるか、温度管理は適切か、飲めずに残したミルクを放置してまた飲ませていないか、母乳との兼ね合いは大丈夫か・・・・
これらのリスクを考慮し、1~2日ごとに訪問し、赤ちゃんの様子と、お母さんの管理状態を確認しています。
診療所のキッチン~ミルクをあげる練習~
粉ミルクをあげずに、お母さんの母乳で賄えれば一番良いのですが、このお母さんの母乳は、十分にはでません。
理由①
お母さんの栄養状態が悪い。1日3ポンド(約90円)で、おばあちゃん、お母さん、子供3人、障害を抱えるおじの6人が生活します。*コカコーラ1本が1.5ポンド(約45円)
1日3ポンドで、家族が全員がバランスのとれた栄養を摂取するのは難しい・・・。
理由②
お母さんの肉体的疲労。
赤ちゃんが二人いて、母乳を飲ませる回数も単純に2倍。
挙句の果てに、この家族が住んでいるのはかやぶきでできた風通しのよすぎる家です。(一回そういう家で寝たことがありますが、朝方、寒すぎて眠れず、お腹が冷えて、下痢しました・・・)
そういう家でゆっくり休んで疲れをとるのは難しいでしょう。
この間訪問した時に、毛布を1枚もらえないかと頼まれました。(赤ちゃんの保温のために、スタッフの毛布を一枚貸し出ししました。)
理由③
経済面での不安やストレスが、母乳を出にくくさせることも考えられます。
このさき、赤ちゃんが大きくなり、離乳食の時期を迎え、適切な栄養が適切な時期に与えられるのか、赤ちゃんが元気に過ごせる衛生環境なのか、お母さんのストレスが軽減できる経済状況になるのか、この家族にとって、どの答えも簡単にはだせません。
それでも必死に毎日毎日を過ごしてもらうほかありません。
赤ちゃんの元気な鳴き声が聞けるようになり、飲める量が徐々に増えたことにはホントにアッラーに感謝です。
生と死をさまよう子供の顔をみて、びっくりして診療所に駆け込んだあの日を思えば、大変喜ばしいことです。
前の記事にも載せましたが、この一家、父親が不在です。
お母さんには上の子供もいます。面倒をみるのは、近所の人だったり、お母さんの親、親戚だったりします。
なぜかというと、、、村の習慣では、産後40日は、家のベットから基本的にお母さんは動かず、ずっとベットの上で産まれた赤ちゃんと一緒に過ごさなければなりません。近所を訪問することもよしとされていません。家事や掃除は、親戚がやってくれたりしますし、たまに近所の人がやってくれます。
お母さんが一人ぼっちで赤ちゃんと1対1で過ごすということもなく、必ず誰かが周りでサポートしてくれます。
お母さんが必ず近くにいるので泣いてもほんの一瞬、後は赤ちゃんは静かに眠るか、母乳を飲むくらいです。
面白いなぁと思います。
貧しいけれど、孤独ではないのです。
代表川原とも一緒に児の様子を見に行き、診察してもらったりしています。
赤ちゃんたち、お母さんにはできる限りのサポートはしますが、この先、こういったサポートを村ぐるみで取り組めるようにロシナンテスが一肌脱ぎたいところです。
元気にすくすく育ちますように。イシャアッラー。
たつの